屋根裏部屋と聞くと、秘密基地のような自分だけの特別な空間を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。普段は使われていない屋根裏のスペースを、趣味の部屋として活用できれば、住まいの快適性や利便性は高まります。
本記事では、屋根裏部屋のメリットや法的な制約、設計時におさえておきたいポイントについて詳しく解説します。限られた空間を有効活用したい方は、ぜひ参考にしてください。
屋根裏部屋とは
屋根裏部屋とは、天井と屋根のあいだにある空間を活用して作られるスペースです。屋根裏は「小屋裏」とも呼ばれますが、法律上で定義された違いはありません。建築基準法では物置と定義されており、特定の条件を満たすことで床面積には含まれません。
屋根裏部屋は、もともと収納スペースとして使われるのが一般的でした。しかし、近年では隠れ家的な魅力から、下記のように活用されています。
・書斎
・趣味の部屋
・シアタールーム
・子どもの遊び場
屋根裏部屋は法的な制約があります。条件を守らずに設計した場合、居室とみなされ、床面積に算入されるため、固定資産税のような課税対象となる可能性があります。
ロフトとの違い
屋根裏部屋とロフトの大きな違いは「はしご」の仕様にあります。ロフトでは固定式のはしごが一般的ですが、屋根裏部屋では建築基準法により「固定式ではないもの」と義務付けられています。
屋根裏部屋のメリット
ここでは、屋根裏部屋のメリットを3つ解説します。
固定資産税の対象にならない
建築基準法の条件を満たして設けられた屋根裏部屋は、居室とはみなされず、床面積にも含まれません。そのため、固定資産税の課税対象外になります。
税負担を抑えながら、収納や趣味スペースとして使える空間を確保できるのは屋根裏部屋の大きなメリットです。
通風・採光が確保しやすい
屋根裏部屋は建物の最上部に位置するため、窓を設ければ風通しや採光がしやすくなります。
高い位置に設置した窓からは新鮮な空気が取り込まれやすくなり、効率的な換気が可能です。
また、太陽光をダイレクトに取り込めるため、日中は照明が不要になるケースも多く、電気代の節約にもつながります。
隠れ家的なワクワク感を味わえる
屋根裏部屋では、隠れ家のような非日常のワクワク感を味わえる空間です。
普段の生活空間とは少し異なる、コンパクトで落ち着いた雰囲気は、大人にとっては趣味に集中できる場所に、子どもにとっては秘密基地のような遊び場になります。
自分だけのプライベートな空間があることで、暮らしに新たな楽しみや心のゆとりをもたらしてくれます。
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屋根裏部屋の法的な制約
屋根裏部屋の設置には、建築基準法や各自治体の条例に基づく、設計や設備のさまざまな制約があります。屋根裏部屋が居室ではなく物置として扱われるための条件です。
自治体によって条例が異なるため、必ず事前に建築予定地の役所や、信頼できる施工業者に確認するようにしましょう。
設計面の制約
屋根裏部屋の設計は、広さ、高さ、階段・はしご、窓の設置などに細かい規定があります。基準を超えると、居室や3階として扱われる可能性があります。
広さ
屋根裏部屋の床面積は、「下の階の2分の1未満」と定められています。
たとえば、2階の床面積が60㎡であれば、2階の上に作る屋根裏部屋の面積は30㎡未満でなければなりません。規定を超える広さにしてしまうと、延べ床面積に算入されたり、3階として扱われたりするリスクがあります。
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高さ
屋根裏部屋の床面から天井までの高さは「1.4m以下」と定められています。1.4mを超えると、居室とみなされる可能性があります。
大人が立って歩ける高さは確保できないため、座ったり寝転んだりして使う空間です
階段・はしご
屋根裏部屋への出入りには、固定式の階段は原則設置できません。法律上、物置として扱うには、可動式や収納式のはしごを使用する必要があります。
窓
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屋根裏部屋には、小さな窓の設置が可能です。
ただし、採光や換気が目的なため、窓の大きさや数にも制限があり「床面積の20分の1以下」といった規定が定められている場合があります。
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出入り口
屋根裏部屋は、室内からのみ出入りできる構造と定められています。バルコニーやペントハウス(屋上部屋)など、外部から直接出入りできる窓やドアは認められていません。
設備面の制約
屋根裏部屋は物置としての利用を前提としているため、居室と同じような設備は基本的には認められていません。
コンセント
屋根裏部屋のコンセントの設置は、一般的には1箇所のみとされています。掃除機や簡易的な電源利用を想定しており、ひとつで足りるという考え方です。
テレビ・電話・ネット回線
テレビアンテナ端子、電話線、LANケーブルなどの情報通信設備の設置は、原則として認められていません。
エアコン
エアコンの設置は、一般的に認められません。エアコンが設置されている施工事例もありますが、自治体の規制が緩やかだったり、特殊な方法で施工されたりしているケースがほとんどです。事前に施工業者への確認が必要です。
畳・絨毯・タイルカーペット
畳や絨毯、タイルカーペットの敷設は、居室としてみなされるおそれがあるため、制限される場合があります。一方、フローリング仕上げは多くの地域で認められています。
家具類
造り付けのカウンターや収納棚など、取り外しのできない家具は設置できません。移動できる家具であれば問題はないため、入居後に組み立て式の家具を活用し、使いやすい収納空間を整えましょう。
屋根裏部屋のプランニングのポイント
快適で使いやすい屋根裏部屋を作るには、プランニングで押さえておきたいポイントが4つあります。
用途を明確にしておく
屋根裏部屋の用途を明確にしましょう。用途が決まれば、必要な広さや収納の形状、照明・コンセントの位置、内装のデザインも自然に決まってきます。
活用例としては、下記のような用途があります。
・収納スペース
・寝室
・書斎・ワークスペース
・趣味部屋
・シアタールーム
・子どもの遊び場(秘密基地)
・リラックススペース
用途を明確にするとプランニングがスムーズに進み、完成後の満足度も高まります。
移動手段を考える
屋根裏部屋への移動手段として、法的制約から固定階段を設置できない場合が多く、一般的にははしごを使います。検討しましょう。
はしごの種類には、下記のような選択肢があります。
・収納式はしご
・壁掛け式はしご
・据え置き型はしご
使用頻度や安全性、設置スペースとのバランスを考え、自宅に合ったタイプを選びましょう。
コンセントや照明の配置は動線に合わせる
コンセントやスイッチの位置は、部屋の入口付近など動線に合わせて操作しやすい位置に設定すると使い勝手が向上します。屋根裏部屋に設置できるコンセントは基本的に1箇所のみのため、位置の検討がとても重要です。
屋根裏部屋で作業する場合は、空間全体を照らす照明と、手元用の補助照明を組み合わせると、快適な作業環境を作れます。
断熱性と通気性を確保する
屋根裏部屋は建物の最上部に位置するため、屋根の断熱性を高めて、室内の温度上昇を抑える対策が必要です。夏場は屋根からの熱がこもりやすく、室温が上がりやすくなります。
また、湿気がこもりやすいため、換気扇の設置や、対角線上に窓を設けて風の通り道を作るような効果的な換気ができる工夫が必要です。
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まとめ
法的な制約を守って作られた屋根裏部屋は、床面積に加えられず、固定資産税の課税対象にもなりません。税負担を抑えながら、有効な居住空間を増やせる点が魅力です。
ただし、屋根裏部屋には広さや高さ、はしごの仕様、窓の大きさなど細かな条件があります。基準を満たさない場合は居室として扱われ、床面積に含まれる可能性があるため、事前に役所や信頼できる施工業者へ確認しましょう。
「FPの家」で採用されている高性能断熱材「FPウレタン断熱パネル」は、優れた断熱性を発揮します。屋根裏部屋のように熱がこもりやすい空間でも、夏は涼しく、冬は暖かく保てるため、快適なプライベート空間として活用できます。
デッドスペースになりがちな屋根裏スペースを、快適で使いやすい場所に変えたいとお考えの方は、ぜひ「FPの家」までお気軽にご相談ください。