お役立ち情報

住まいのコラム

2025年2月4日

地鎮祭とはどういうもの?準備するものや費用・当日の流れを解説!

地鎮祭は、神主さんにお祓いをしてもらい、神さまに工事の安全などを祈願する儀式のことです。上棟式とは儀式を行うタイミングや目的が異なり、注文住宅を検討している方は事前に内容を把握しておくとよいでしょう。

本記事では、上棟式との違いや地鎮祭の依頼先、準備するもの、日程の決め方をご紹介します。そのほか、手水から直会までの流れや費用相場もお伝えするため、新築を建てようと考えている方は参考にしてください。

地鎮祭とは?

地鎮祭とは、工事を開始する前に神主さんを招いて、その土地の神さまに工事の安全や建物の繁栄を祈願する儀式です。日本書紀にも記されているほど、昔から行われてきた伝統的な風習であり、現在も日本の多くの地域で広く行われている儀式です。

特に、新築住宅の建設時に実施されることが多く、地域や個人の信念によって実施率が異なります。

地鎮祭の方式は、一般的には神式ですが、宗教によってはキリスト教式や仏教式で行われるケースがあります。施主や工事関係者などが参列して行い、建築する土地の四隅に青竹を立てて、しめ縄で囲んで祭場をつくるのが一般的です。

義務として決まっているわけではない

建築工事などの安全を祈願する地鎮祭ですが、必ず行わなくてはいけないというわけではありません。義務として決まっておらず、とくに昔からの風習にこだわりがない方や、少しでも費用や手間を抑えたい方は、地鎮祭を行わないという選択肢もあります。

地鎮祭を行うかは施主が決めることですが、行わない旨を伝えなければ、地鎮祭をスケジュールに組み込むケースがほとんどです。工務店や建築会社にとっては、これからの関係を築くための挨拶の意味合いもあるため、何もいわなければ地鎮祭が実施されるでしょう。

地鎮祭を行わない場合は、土地探しや間取りなどを相談する時点で、その旨を工務店や建築会社に伝えておくことがポイントです。なかには、工事関係者のみで地鎮祭の略式のような形で安全祈願を行う場合が見られます。

上棟式との違い

上棟式との違い

地鎮祭以外に、上棟式という儀式もあります。工事を開始する前に行う地鎮祭に対し、上棟式は建物の骨組みが屋根まで完成したことをお祝いする儀式です。屋根は骨組み作業の最後に設置するものであり、最上部の棟木がついたことを祝う意味合いがあります。

上棟式は、棟梁が仕切る儀式であり、建築関係者たちに施主が料理やお酒を振る舞います。そのほか、屋根の上から餅やお金を撒いたり、建築関係者にご祝儀を配ったりするケースもあるでしょう。

注文住宅における上棟式ですが、以前は実施されていたものの、近年では地鎮祭と同様に必ずしも実施するものではありません。一部の工務店や建築会社では、最上部の木材を引き上げる作業を上棟式の代わりとして行うなど、別の形で実施される場合があります。

こちらの記事では、上棟式について解説しています。流れや準備するもの、費用なども取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

地鎮祭の依頼先は?

地鎮祭は、一般的には神主さんに依頼しますが、宗教によってはお坊さんや神父さんに依頼するケースがあります。どの神主さんに依頼するかは、地域の氏神さまの神社を調べてから探すとスムーズです。

また、その地域に長く住んでいる方に聞いてみたり、地域密着型の工務店や建築会社に相談してみたりすることがおすすめです。工務店や建築会社に相談すれば、工期に合わせて日程も調整してもらいやすいでしょう。

神式の場合、氏神さまを祀る神社への依頼が基本ですが、神主さんが遠方からくることもあります。時期によっては神主さんのスケジュールが繁忙期になる場合もあるため、双方のスケジュールを考慮する必要があるでしょう。

工務店や建築会社のなかには、地震際の依頼先や予約、当日に必要なものの準備など、地鎮祭に関することをすべて行ってくれるところもあります。トラブルを避けるためにも、どの神社に依頼するか、どこまで準備してくれるかなどを共有することがポイントです。

地鎮祭で準備するものは?

地鎮祭で準備するものは?

地鎮祭では、神主さんを招くための費用や神さまにお供えするためのものなど、準備しておくものがさまざまあります。ここでは、地鎮祭で準備するものを6つご紹介します。

お供え物

地鎮祭のお供え物は、米や奉献酒、塩、海の幸、野菜、果物などさまざまです。そのほか神社から準備するように指定されるものがあったり、地域ならではの準備物などがあったりするため、事前に何を準備すべきかをリサーチしておくとよいでしょう。

米は、1度洗って乾かしたものを1合ほど準備します。奉献酒は、一升瓶の清酒を2本用意して包装し、奉献や奉献酒と表書きしたのし紙を施します。

塩は盛るだけではなく撒く分も必要なため、袋でまとめて準備しておくとよいでしょう。海の幸や果物は3種類、野菜は3種類以上準備することが好ましいです。これらのものは、工務店や建築会社、神主さんが用意してくれるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。

玉串料(初穂料)

地鎮祭では、神主さんへのお礼に玉串料を準備する必要があります。必要な金額を用意し、現金をのし袋に包んで、施主から神主さんに直接手渡しするケースがほとんどです。

現金を包むためののし袋の水引は取り外し可能の蝶結びで、中袋があるものを選びましょう。毛筆や筆ペンを使い御初穂料や御玉串料などと表書きをし、新札を包むのがマナーとなっています。

玉串料を神主さんに渡すタイミングは儀式が開始される前が多く、渡してから祭壇に奉納されるケースがあります。一方で、儀式が終了してから感謝の気持ちで玉串料を渡すケースもあるため、工務店や建築会社に事前に流れを確認しておきましょう。

盃(さかずき)

盃(さかずき)

地鎮祭では、最後に御神酒をいただくための盃を人数分用意する必要があります。盃には、かわらけや高杯などの種類があります。

かわらけは、釉薬をかけていない素焼きの陶器です。高杯は、底が高くつくられている器で、おちょこよりも少し大きいです。

升や湯呑

盃がなければ升や湯呑を使用するケースがあります。盃と同様、人数分のものを用意する必要があり、用意できない場合は紙コップなどで代用しても問題ないでしょう。

お祝いの雰囲気を高めたい場合は、容量の多い升や湯呑を用意することがおすすめです。さらに、升や湯呑を注文して購入する際、名前や日付などを刻印できるケースがあり、家づくりの記念品となります。

榊(さかき)

榊とは、祭壇や常緑の神棚にお供えするための植物です。榊は年中青々としている植物であるため、縁起によいとされることから地鎮祭などの行事によく使われます。

榊は花屋で購入でき、5本ほど用意しておくとよいでしょう。榊が入手できない場合は、楠や杉などのほかの常緑樹で代用することも可能です。

半紙

地鎮祭でお供え物を盛るとき、下に敷いて使うために半紙を用意する必要があります。地鎮祭で使用する半紙は、20枚ほど(1帖)用意するのが一般的です。半紙は、スーパーマーケットや100円ショップなどの文具コーナー、事務用品店などで購入できます。

地鎮祭の日程の決め方は?

地鎮祭の日程は、工事の日程と六曜、十二直などをもとに決めるケースがほとんどです。六曜は、大安・赤口・先勝・友引・先負・仏滅があり、カレンダーにも記載されていることが多いです。

十二直は、建・除・満・平・定・執・破・危・成・納・開・閉があり、カレンダーに記載されていることはほとんどありませんが、建築関係の日程を決める際に参考にするケースがあります。

六曜における吉日は大安・先勝・友引、十二直における吉日は建・万・平・成・開です。一方で、地鎮祭の凶日は、六曜の場合だと仏滅、十二直の場合だと破・危・閉とされています。

神道や仏教では六曜は関係ないとされ、神式での祭事は十二直が重視されます。そのほか、建築関係の大凶日として三隣亡は避ける傾向にあります。吉日に地鎮祭を開催することが理想的ですが、施主や建築関係者、神主さんなどのスケジュールによっては、日程を組むことが難しい場合があるでしょう。

そのため、地鎮祭の日程を決めるときは、柔軟に日程を調整するために、六曜や十二直にこだわりすぎないことが求められるケースがあります。吉日にこだわりすぎると、工事の開始日が先送りになる可能性もあるため、建築作業も考慮する必要があります。

地鎮祭の流れは?

滞りなく地鎮祭を進めるためにも、事前に流れを把握しておくとよいでしょう。ここでは、地鎮祭の流れを12ステップに分けて解説します。ただし、地域や宗教などによっては、流れが異なるケースがあります。

手水(てみず・ちょうず)

手水(てみず・ちょうず)

手水とは、心身を清めるために手を洗ったり口をゆすいだりする儀式です。右手で柄杓を持って左手を清めたら、左手に柄杓を持ち替えて右手を清めます。

次に、再び柄杓を右手で持って左手で水を受け、口をすすいでからあらためて左手を清めます。残った水で柄杓の柄を洗って清めて、もとに戻すまでが手水の流れです。

工務店や建築会社の担当者が手水役を務めるケースが多く、柄杓を持って手水を取る係と拭い紙を渡す係の2人で行われる場合があります。参列者が多く時間が限られている場合は、手水が複数か所に設置されているケースもあります。

修祓の儀(しゅばつのぎ)

修祓の儀とは祭壇やお供え物、神具、参列者を祓い清めるための儀式です。神主さんが祓詞を奏上し、大麻という白い帯のついた串を左右に振ってお祓いを行います。

お祓いを開始する前に、参列者は起立して軽く頭を下げます。お祓いをする順番は、祭場、神饌、玉串、斎主、祭員、施主、工事関係者、そのほかの参列者となるケースが多いです。

降神の儀(こうしんのぎ)

降神の儀とは、祭壇に建てている神籬という神さまを招くための場所に、その土地を守る神さまを迎える儀式です。神主さんが神籬の前に進み、降神詞という神さまを迎えるための祈願を申し上げます。

参列者が起立し頭を下げたら、神主さんが「オー」という発声をして、正面の神籬に神さまを迎えます。降神の儀が終了したら、参列者は着席するのが流れです。

献饌の儀(けんせんのぎ)

献饌の儀とは神さまの召し上がるお供え物を、神主さんが献上する儀式です。基本的に神饌は米、酒、塩、水であり、酒や水を入れた瓶子や水玉の蓋を開けて神さまに捧げます。

祝詞奏上(のりとそうじょう)

祝詞奏上とは、神さまに土地に建物をつくることを告げて、神さまからのご加護を祈願するために祝詞を申し上げる儀式です。この儀式では、参列者も起立して頭を下げて祈願します。

お供え物で神さまをおもてなししてから、土地の使用の許しを得て、建築工事の安全と建物の繁栄を願います。

四方祓の儀(しほうはらいのぎ)

四方祓の儀とは、工事の安全のために敷地を清めるための儀式です。神主さんが土地の四隅に塩や米、半紙を撒いて清めるのが流れとなっています。場合によっては、祭壇前の四方で大麻や切麻を使ってお祓いするケースもあります。

地鎮の儀(じちんのぎ)

地鎮の儀とは、土地の神さまを鎮めるための儀式です。神さまに着工を告げる儀式でもあり、工務店や建築会社の代表だけではなく施主も参加します。

地鎮の儀では、清めた鎌や鍬、鋤を使って、施主と工務店や建築会社の代表、設計者の3人で行うケースが多いです。円錐形の盛り砂に草を立て、設計者が忌鎌で草刈りをする所作をします。

次に、施主が鍬入れと呼ばれる忌鍬で土を掘る所作をして、盛り砂に穴をつくります。穴に神主さんが鎮物を埋納したら、工務店や建築会社の代表が鋤入れと呼ばれる忌鋤で土をすくう所作をして、鎮物の上に砂をかけるのが一連の流れです。

どの所作でも「エイ、エイ、エイ」というかけ声に合わせて、3回繰り返します。所作をする際、神前に背中を向けないのがマナーとなっています。

玉串奉奠(たまぐしほうてん)

玉串奉奠とは、玉串という樹木の神具を奉納する儀式です。参列者が神さまに敬いの気持ちを捧げるための儀式であり、関係者が1人ずつ工事が無事に完了することを願います。順番は、神主さん、祭員、施主、工事関係者、そのほかの参列者が一般的です。

撤饌の儀(てっせんのぎ)

撤饌の儀とは、神主さんがお供え物を神さまからお下げする儀式です。酒や水を入れた器は蓋をしてから下げ、最後にお供えしたものから順番に下げるのが流れとなっています。

昇神の儀(しょうじんのぎ)

昇神の儀とは、神さまにお戻りいただくための儀式です。神主さんが神前に進み、昇神詞を申し上げてから降神の儀と同様に発声し、神さまをお送りします。参列者も起立して参加し、神主さんが着座したら儀式が終了となります。

神酒拝戴(しんしゅはいたい)

神酒拝戴とは、神主さんの音頭に合わせてお供えした御神酒を献杯することです。参列者全員で献杯するケースがある一方で、参列者の人数が多い場合は少人数のみで行われるケースがあります。

直会(なおらい)

直会とは、地鎮祭の実施後にホテルや飲食店などで行う食事会です。ただし、注文住宅の場合は、直会を開催されるケースが少なく、最後に御神酒をいただいて終了という流れが一般化されています。

こちらの記事では、注文住宅を建てるまでの流れについて解説しています。支払いのタイミングや注意点も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

地鎮祭にかかる費用相場は?

地鎮祭にかかる費用は、神主さんに渡す初穂料とお供え物代などがあります。初穂料は、20,000円~50,000円ほどが相場です。神さまへのお礼の気持ちで支払うお金でもあり、地域によって金額が異なります。

奉献酒やお米、塩、果物、野菜などのお供え物は、5,000円~10,000円ほどで準備が可能です。工務店や建築会社がすべて用意してくれる場合は、建築費用の経費に含まれている場合があります。

そのほか、工事が開始する前に挨拶回りで、近所の方々に粗品を用意しておく必要があります。粗品の相場は、1家族あたり500円~2,000円ほどが目安です。

また、地鎮祭を終えた後に食事会を開催する場合は、人数分の飲食費もかかります。食事会を省略する代わりに、お弁当を用意して配るケースもあります。

雨天の場合はどうする?

地鎮祭の開催日に雨が降っても、予定どおり開催されるケースがほとんどです。雨降って地固まるということわざがあるように、物事が落ち着いてよい結果につながるという意味合いがあり、雨が降った方が縁起がよいともいわれています。

雨が降っている場合は、工務店や建築会社がテントを張って準備を進めるのが一般的です。とくに、梅雨の時期に着工する予定の場合は、地鎮祭が雨の日に開催される可能性が高いです。

ただし、台風や豪雨などで危険性がある場合は、場所を変えたり日程をずらしたりするケースがあります。工務店や建築会社との打ち合わせの時点で、悪天候の場合の対応や日程をずらした場合のスケジュールなどを確認しておくとよいでしょう。

「FPの家」では、フルオーダーの注文住宅で理想の家づくりが実現できます。地域の特性を知り尽くし、確かな技術を持ち合わせた地元の工務店がお客様のご要望に、きめ細やかに対応いたします。資料請求も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

地鎮祭は、家を建てる土地の神さまに工事の安全を祈願するための儀式です。依頼先やお供え物などはその地域や宗教によって決まりがある場合があり、工務店や建築会社がすべて対応してくれるケースがあります。

スムーズに地鎮祭を進めるためにも、地域の風習などを理解している工務店や建築会社に依頼することがポイントです。地域密着型の工務店であれば、建築後のアフターフォローが手厚い可能性があります。

「FPの家」では、地域の気候風土を十分に理解している全国各地の工務店が家づくりをしています。確かな技術力はもちろん、工場生産による安定した品質管理で、高性能・高品質な住まいを実現します。

地域に根差す工務店だからこそ、建てるまでも建てたその先も永く続くお付き合いを大切にしています。見学会や住宅セミナーなども開催していますので、お気軽にお問い合わせください。

全国の「FPの家」施工工務店に関しては、こちらからご確認ください。