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住まいのコラム

2025年9月4日

ハウスダスト対策で家族の健康を守る!新築時・入居後それぞれのポイント

新築住宅への入居は新しい生活のはじまりですが、意外と見落としやすいのがハウスダスト対策です。建築材料から発生する微細な粉塵や、生活をはじめてから蓄積していくダニ・カビ・花粉などのアレルゲンは、家族の健康に長期的な影響を与えるリスクがあります。

とくに、小さなお子様やアレルギー体質の方がいるご家庭では、適切な対策が欠かせません。本記事では、新築時から入居後まで段階別に実践できる効果的なハウスダスト対策を紹介します。健康で快適な住まいづくりのためにも、ぜひ参考にしてください。

そもそもハウスダストとは何?

ハウスダスト対策を効果的に進めるには、まずその正体を正しく知ることが大切です。「ホコリのようなもの」といった漠然としたイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし、実際のハウスダストは、私たちが思っている以上に複雑で多様な物質が含まれています。

ハウスダストは、家のなかで発生するものと外から侵入するものに分けられ、さらに空中に舞う目に見えない微粒子から、床に積もる綿ボコリまで、種類もさまざまです。まずは、ハウスダストの主な成分や発生源をみていきましょう。

ハウスダストの主な原因物質(アレルゲン)

ハウスダストの正体は単なるホコリではなく、強いアレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)の集合体です。以下では、その構成要素を紹介します。

ダニ

ハウスダストアレルギー最大の要因といわれるのが、チリダニ(コナヒョウダニやヤケヒョウダニ)・ツメダニ・コナダニです。これらは人のフケやアカ、食べかす、繊維くずを栄養源として発生し、とくに高温多湿環境で急増します。

生きているダニだけでなく、死骸やフン、脱皮殻も強いアレルゲンです。梅雨から夏に増殖し、秋に死骸やフンが増えて症状が出やすくなります。

カビ・細菌

風呂場や洗面所、キッチンなど、湿度の高い場所はカビや細菌にとって絶好の繁殖環境です。こうした微生物が放出する胞子や粒子は空気中に漂い、それを吸い込むことでアレルギー性鼻炎や喘息などの原因となることがあります。

なかでも、黒カビは毒性が強く、長期間発生している状態は深刻な健康被害を及ぼす可能性があります。梅雨や冬場の結露が多い時期は、湿度の適切な管理が健康を守るうえでも重要です。

人間やペットの毛・皮膚片

人のフケやアカ、抜け毛は日常的に大量に発生しています。さらにペットを飼っている家庭では、動物の毛や皮膚片もくわわるため、室内の空気中には多くの有機物が舞いやすい状態です。

これらはダニの栄養源となり、ダニの繁殖を助長してしまいます。とくに、寝具まわりは汚れが溜まりやすいため、定期的な清掃が必要です。

繊維くず

布団やカーペット、カーテン、衣類、ぬいぐるみなどからは、日常の摩擦で細かな繊維くずが発生します。これらは非常に軽く、空中に舞い上がりやすいため、ハウスダストの主な構成要素のひとつです。

また、ダニの隠れ場所や繁殖場所にもなりやすく、見えないうちに空気環境を悪化させてしまいます。古くなった繊維製品ほど劣化によりくずが出やすくなるため、定期的な見直しも必要です。

食べかす

わずかな食べ残しであっても、チーズやかつお節、パンくずなど、うま味や糖分を多く含む食品はダニを引き寄せやすくなります。

そのため、食事のあとには、目に見えないほど小さなかけらまで丁寧に取り除きましょう。とくに、キッチンまわりでは、調味料の飛び散りにも注意を払うとより衛生的な状態を保てます。

花粉・砂ぼこり・排気ガス

外から持ち込まれる花粉や砂ぼこり、さらには排気ガスに含まれる微粒子なども、ハウスダストの一因です。衣服や靴を通じて屋内に入り込んだり、窓を開けた際に風とともに流れ込んだりするケースがあります。

都市部や幹線道路沿いの住まいでは影響が大きいため、こまめな換気や空気清浄機の活用が効果的です。

ハウスダストが溜まりやすい場所

ハウスダストは家中のあらゆる場所に存在します。ここでは、蓄積しやすい環境や条件が整った場所を紹介します。的確な対策を実施するためにも、しっかりおさえておきましょう。

寝室

寝室

私たちが1日の約3分の1を過ごす寝室は、ハウスダストが蓄積しやすい場所です。布団や枕、マットレス、シーツなどの寝具からは、日常的に細かな繊維くずが出ています。さらに、睡眠中には髪の毛やフケ、皮膚のかけらなどが自然に落ち、これらが寝具に蓄積されやすくなります。

また、以下のような条件がそろっているため寝室はダニにとって非常に繁殖しやすい環境です。

・人の体温で寝具が温められる
・呼吸によって湿度が高くなる
・光が少なく、暗い空間である

これらの条件が重なると寝具まわりはダニの温床となりやすいため、こまめな対策が欠かせません。

浴室・洗面所

湿度が常に高く保たれる浴室や洗面所は、カビや細菌にとって理想的な繁殖環境です。入浴やシャワーによって発生する大量の水蒸気に加えて、タオルやバスマットなどの布製品から出る繊維くず、洗髪時に落ちる髪の毛、入浴で剥がれ落ちる皮膚片などが複合的に蓄積します。

加えて、換気扇の性能不足や掃除不足が重なるとさらに状況は悪化し、壁面や天井にまでカビが繁殖する原因となります。

押入れ・クローゼット

季節の布団や衣類、子どものぬいぐるみなどが詰め込まれた押入れやクローゼットは、さまざまなものが密集する空間です。そこには、繊維くずやホコリ、ダニ、カビに加え、外から持ち込まれた花粉なども入り混じっています。

また、扉を閉めたままでは空気の流れが悪く、奥のほうには掃除機のノズルも届きにくい構造のため、湿気がこもりやすく、ダニの繁殖に最適な環境となりやすいです。定期的に扉を開けて風を通し、除湿剤や除湿機を設置するなどの対策が有効です

カーテン

窓辺に掛けられたカーテンは外の空気と室内の空気が交わる場所にあり、花粉や砂ぼこりなどの微細な汚れが付着しやすい環境です。風通しの良い窓では、換気とともにこうした粒子が入り込み、カーテンの表面にとどまりやすくなります。

さらに、生地の繊維は細かく絡み合っているため、空気中に舞う繊維くずやホコリも吸着しやすい構造です。一見すると清潔に見えても、実際には目に見えない汚れが少しずつたまっていきます。

カーペット・畳

床材のなかでも、とくに注意が必要なのがカーペットや畳です。カーペットやラグの毛足の奥深くには、掃除機では吸い取りきれない細かなホコリやダニの死骸、食べこぼしのかけらなどが大量に滞留します。

畳も同様に、い草の目の奥にダニやカビが潜み込み、湿気の多い時期には急速に繁殖するリスクがあります。

クッション・ソファ

クッション・ソファ

リビングの中心に置かれやすいソファは座面や背もたれの生地だけでなく、内部の中綿にもホコリや皮膚片がたまりやすい環境になります。

なかでも、ファブリック素材のソファは通気性が良く、温かさもあることから、ダニにとって快適な住みかとなりやすい傾向があります。見た目がきれいでも、目に見えない汚れが奥にまで入り込んでいることも少なくありません。

本棚

紙類はハウスダストが付着しやすく、本棚は見落とされやすい発生源のひとつです。ぎっしり並べられた本の隙間にはホコリがたまりやすく、空気の流れが届きにくいため、ハウスダストが蓄積しやすくなります。

また、本棚だけでなく、新聞や雑誌、使わなくなった段ボールの山なども同様にホコリを引き寄せる要因となります。これらの紙製品は、繊維が細かく、時間の経過とともに細かな紙くずが出やすいこともあり、ハウスダストの温床になるためです。紙類を収納・保管するスペースでは、定期的な掃除や整理整頓が欠かせません。

家電製品や照明カバーの周り

家電製品は動作中に静電気を帯びやすく、空気中のホコリや花粉、微粒子を吸い寄せやすい性質があります。そのため、テレビやパソコンの画面、電子レンジや冷蔵庫の上部、エアコンのフィルター周辺などには、気づかぬうちにホコリがびっしりと付着していることも少なくありません。

照明カバーの内側にもホコリが入り込みやすく、天井付近は掃除が後回しになりやすいため、いつの間にか汚れが積もっているケースもあります。これらの場所は目に入りにくく、また掃除の優先順位が下がりやすいため、放置されやすいポイントといえます。

ハウスダストによって引き起こされる症状・疾患

微細なホコリやダニの死骸などが混ざったこのハウスダストは、アレルギー反応を引き起こし、さまざまな症状や疾患の原因となります。

ここでは、ハウスダストがもたらす代表的な健康トラブルを解説するので、ぜひ参考にしてください。

アレルギー性鼻炎

ハウスダストに含まれるダニやカビなどのアレルゲンが鼻の粘膜に付着すると、体の免疫システムがそれを異物と判断します。すると、過剰な防御反応が起こり、次のような症状が現れます。

・くしゃみ
・透明な鼻水
・鼻づまり

ダニやカビ、ペットの毛などが原因の場合、季節を問わず症状が続く「通年性アレルギー性鼻炎」になりやすいです。夜間には寝具を介してアレルゲンを吸い込み、眠れなくなるなどの睡眠トラブルを引き起こすこともあります。

アレルギー性結膜炎

ハウスダストが原因で、目のかゆみや充血、異物感、涙目などの症状が起こります。これは目の表面を保護する結膜が炎症を起こすことで現れ、ダニやカビ、ペットの毛が目に入ることが引き金となります。

花粉症と併発しやすいですが、室内のホコリが原因の場合は季節に関係なく症状が続くのが特徴です。

アトピー性皮膚炎

ハウスダストは皮膚にも影響を与えます。皮膚がアレルゲンに触れるとかゆみや赤み、湿疹などが繰り返し現れます。これがアトピー性皮膚炎です。

とくに、小さな子どもや敏感肌の方は、ダニやカビ、ペットの毛に対するアレルギーが強いと悪化しやすいです。さらに、肌のバリア機能が弱い人ほど影響を受けやすいことがわかっています。

気管支ぜんそく

ハウスダスト由来のアレルゲンを吸い込むと、気道が過剰に反応します。ダニやカビ、ペットの毛、ハウスダストの粒子は気道を刺激し、炎症や狭窄をもたらします。その結果次のような症状が起きてしまいます。

・咳
・喘鳴(ぜーぜー音)
・呼吸困難 など

気管支ぜんそくと呼ばれ、子どもが発症すると寝ている間に咳き込んだり、発作的に呼吸が苦しくなったりしやすいといわれています。

日ごろからできるハウスダスト対策・予防法

ハウスダストは室内に常に存在し、完全に取り除くことは難しいものです。しかし、日々のちょっとした工夫や習慣で、その量を減らし、アレルギー症状や健康被害を予防することは十分に可能です。

ここでは、誰でも手軽にはじめられる効果的な対策と予防法を紹介します。まずは今日からできることをひとつずつ取り入れて、快適で健康的な暮らしを目指しましょう。

①掃除

掃除

掃除をはじめるときは、高い場所から順に進めましょう。最後に床を掃除するのがポイントです。床から先に掃除すると、高い場所のホコリが落ちてしまい取りこぼしてしまいます。また、掃除機はホコリが舞い上がる原因になるため、最後にかけるのが効果的です。

掃除のタイミングは、朝一番や帰宅後の人の動きが少ないときがおすすめです。ゆっくり静かに掃除することで、ハウスダストの舞い上がりを抑えられます。

毎日掃除するのが理想ですが、時間が取れないときは優先順位を決めましょう。ホコリが溜まりやすい床や低い家具は毎日掃除し、照明器具や背の高い家具は大掃除の際にまとめて行うなど、計画的に進めることがポイントです。

また、エアコンからカビやホコリが放出されないようにするためにも、エアコンフィルターの掃除は2週間に1回程度を目安に行いましょう。定期的なフィルター清掃は、空気の質を保つうえでも大切です。

②換気

窓を閉め切ると室内の空気がこもり、湿度や温度が上がりやすくなります。この高温多湿の環境はダニやカビが繁殖しやすいため、こまめな換気で湿度や温度を調整することが大切です。

換気をするときは、必ず2か所以上の窓を開けて風の通り道を作るようにしましょう。ただし、雨の日に窓を開けると逆に湿度が高くなってしまうため、その場合はエアコンの除湿機能や除湿器を活用して湿度をコントロールします。

また、室内のハウスダスト対策には空気清浄機も効果的です。リビングなど人がよく集まる場所に設置すれば、空気中のホコリやダニの死骸を取り除き、より清潔な空気環境を保てます。

③湿度対策

湿度管理は、快適で健康的な住環境を維持するために重要なポイントです。理想的な室内湿度は40%から60%の範囲に保つことが推奨されており、この数値を維持するために加湿器や除湿器を適切に活用しましょう。

湿度が高すぎても低すぎても、ダニやカビの繁殖を促進してしまう原因となります。そのため、湿度計を設置して定期的にチェックし、適切なバランスを保ちましょう。

ハウスダスト対策は家作りから!設計時のポイント3つ

ハウスダスト対策は日々の清掃や換気だけでなく「家そのものの設計・性能」で根本から解決しなければなりません。

とくに、新築やリノベーションのタイミングで、発生源や滞留原因を間取りや素材、設備段階で排除することで、家族の健康リスクや日々の手間を大幅に軽減できます。ここからは、健康住宅を実現するための3つの設計ポイントを解説します。

換気性能

計画的な換気システムの導入は、ハウスダスト・アレルゲンの根本的な対策方法です。現代の住宅は高気密化が進み、窓を閉めたままだと室内の空気がこもりやすくなっています。そのため、設計時には次のような「空気がよどまない流れ」の確保がポイントです。

・給気・排気のバランス
・換気扇の設置場所や能力
・メンテナンスしやすいフィルターの選定

2003年の建築基準法改正によりシックハウス症候群対策として義務化された「24時間換気システム」を導入している住環境は、ホコリや湿気、化学物質などを室内に溜め込まず、常に新鮮な空気を循環させる重要な仕組みといえます。

断熱性・気密性

高断熱・高気密の住宅は、結露やカビ、ダニといった健康被害の原因を根本から減らす効果があります。結露をそのままにしておくと、カビやダニが繁殖し、それがハウスダストとなってアレルギーや喘息などの症状を引き起こす可能性があります。

そのため、質の高い断熱材と気密性の高い施工を組み合わせることは、建物の耐久性を高めるだけでなく、住む人の健康を守るうえでも重要です。

ハウスダストを溜めない構造

ホコリがたまりにくい住まいを目指すには、間取りや内装、収納計画をバランスよく考えることが大切です。たとえば、段差やすき間の少ないフラットな間取りにすれば、ホコリがたまる場所を減らせます。

また、内装材の選び方も重要です。カーペットよりもフローリングや無垢材のほうが、ダニやホコリの温床になりにくく、掃除もしやすくなります。さらに、収納スペースは「しまうだけ」でなく、通気性や除湿性も意識して設計するのがポイントです。

まとめ

ハウスダストは常に身の回りにあり、日常の掃除や一時的な対処だけでは、アレルギーや健康リスクを防ぎきれません。だからこそ、本気で対策するなら「家の性能」を見直すことが、もっとも確実で根本的な解決策です。

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