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住まいのコラム

2025年10月31日

知らないと怖い内部結露のリスク丨原因と確認方法・対策を解説

壁の中で知らないうちに進んでしまう「内部結露」は、放置すると住まいの寿命を縮めたり、家族の健康に悪影響を与えたりします。気づきにくい現象だからこそ、早めに知識を持って対応することが大切です。

この記事では、内部結露の基本的な仕組み、自分で確認できるポイント、そして新築で失敗しないための具体的な対策を紹介します。

内部結露(壁内結露)とはどんな現象?

内部結露とは、住宅の壁の中や床下、天井裏といった普段は見えない場所で発生する結露のことです。壁内結露とも呼ばれ、大きな特徴は気づきにくい点にあります。

窓ガラスにできる結露であれば、布で拭き取ることで簡単に解消できます。しかし、壁の中で起きる内部結露は、外側からも室内からも確認できないため注意が必要です。

そのまま放置すると、気づかないうちに広がってしまい、断熱材や柱といった住宅を支える部分にダメージが及ぶ可能性があります。

内部結露が発生する仕組み

空気に含まれる水分量(飽和水蒸気量)は温度によって変化します。暖かい空気は多くの水分を含みますが、冷やされると水滴が発生します。これは冷たいコップの表面に水滴がつく現象と同じ仕組みです。

さらに、湿った空気は温度の低い方向へ移動します。冬は室内から屋外へ、夏は屋外から冷房で冷えた室内へと流れ込みます。その空気が壁の中で冷やされると水蒸気が水滴に変わり、内部結露が起こります。

内部結露と外部結露の違い

結露には、目に見える「表面結露(外部結露)」と、目に見えない「内部結露」があります。

表面結露は窓ガラスや壁の表面に発生し、冬の朝に窓が曇るのが代表的な例です。暖かく湿った室内の空気が冷たい窓に触れることで水滴がつきますが、拭き取るだけで被害を防ぐことができます。

一方、内部結露は壁の中や床下、天井裏といった普段は見えない部分で発生します。外から確認できないため発見が難しく、気づかないまま広がると断熱材や構造材に影響が及びます。

内部結露は冬にも夏にも発生する!

内部結露は冬だけの現象ではなく、梅雨や夏にも起こることがあります。これは「夏型結露(逆転結露)」と呼ばれ、冷房で冷えた室内に湿った外気が入り込むことで発生します。

こうした仕組みがあるため、内部結露の対策は冬だけでなく一年を通じて考えることが大切です。

冬型結露

冬型結露は、もっともよく見られる内部結露のタイプです。

暖房で暖められた室内の空気は水蒸気を多く含みます。この空気が外気で冷やされた壁や窓の内部に入り込むと、一気に冷やされて水滴が発生します。

とくに真冬は室内と屋外の温度差が大きくなるため、壁の内部で結露が起こりやすくなります。

夏型結露

夏型結露は「逆転結露」とも呼ばれ、冬型とは反対の仕組みで発生します。

梅雨や真夏の高温多湿な外気が、冷房で冷やされた壁や天井に触れると水滴が発生します。とくに冷房を強く効かせると壁内との温度差が大きくなり、結露のリスクが高まります。

近年の住宅は気密性が高いため、夏の冷房による内部結露にも注意が必要です。「結露は冬だけ」と思わず、一年を通じて湿度と温度を管理することが大切です。

内部結露の発生による建物へのリスク

内部結露がもたらす影響は決して小さくありません。せっかく手に入れた住まいも、放置すると資産価値や住み心地を損なう恐れがあります。

大切に暮らす住まいだからこそ、内部結露によるリスクを理解することが重要です。正しい知識を持って備えることで、住まいを長く守り、快適な暮らしを続けることができます。

カビによる健康被害

内部結露で壁の中に湿気がたまると、カビが繁殖しやすい環境が生まれます。カビは水分、栄養分、酸素、そして温度がそろうことで急速に増えるため、内部結露がその引き金になることがあります。

壁の内部で発生したカビは、エアコンやコンセントのすき間を通って室内に入り込み、空気を汚す場合があります。その胞子を吸い続けると、喘息やアレルギー性鼻炎、シックハウス症候群といった健康トラブルにつながる恐れがあります。

とくに小さな子どもやアレルギー体質の方がいる家庭では、見えないカビのリスクに十分注意が必要です。

木材の腐敗

内部結露でとくに深刻なのが、家の骨組みを支える木材の腐敗です。

木材が湿ると「木材腐朽菌」が繁殖し、柱や梁を内側から分解していきます。含水率が30%を超えると繁殖が一気に進むため、内部結露による湿気は大きなリスクとなります。

柱や梁が腐ると建物の強度や耐震性が低下し、倒壊の危険性も高まります。さらに湿った木材はシロアリの餌にもなり、腐朽菌と同時に被害を受けることで劣化が加速してしまうのです。

断熱材の性能低下

内部結露は断熱材の性能にも影響を与えます。

とくにグラスウールやセルロースファイバーなどの繊維系断熱材は、水分を吸収すると重くなり、ずり落ちたり圧縮されたりします。その結果、壁の内部に隙間が生じて断熱性能が低下します。

さらに、内部の空気層がつぶれると空気の断熱効果が失われ、熱を通しやすい状態になります。湿気を含んだ断熱材は本来の力を発揮できず、冷暖房効率の悪化を招きます。

内部結露が発生しやすい場所

内部結露は住まいのどこで起こりやすいのでしょうか?自宅で注意すべき箇所を理解しておくことで、早い段階で気づける可能性が高まり、予防の行動にもつながります。

外壁や天井裏

外壁や天井裏は外気にもっとも近く、温度差が生じやすいため内部結露が起こりやすい場所です。

断熱材の施工に隙間があると外気が侵入し、内部で急激な温度変化が起こります。とくに繊維系の断熱材は湿気を通しやすく、室内の湿った空気が通過して外壁側で冷やされ、結露を招くことがあります。

北側の壁や日当たりの悪い部屋は温度が低くなりやすいため、リスクがさらに高まります。

天井裏も屋根からの外気の影響を受けやすく、冬場は暖かい空気が上昇して集まるため、温度差によって結露が発生しやすい箇所です。

床下

床下は地面からの湿気と換気不足によって、内部結露が起こりやすい場所です。地面に含まれる水分が蒸発して床下に上がり、換気が不十分な場合には湿気がこもります。

とくに吸湿性の高い断熱材を使用している場合は、断熱材そのものが湿気を吸い込み、結露の原因となります。さらに、床下断熱か基礎断熱かによっても発生の仕方が異なります。

湿気がたまると床材や根太の腐敗やシロアリ被害につながり、床のきしみや沈み、カビ臭さとして表れることがあります。

建材の接合部

木材とコンクリート、金属など異なる素材が接する部分は、内部結露が発生しやすい場所のひとつです。

素材ごとに熱の伝わり方が異なり、木材は熱を保ちやすいのに対し、コンクリートや金属は冷えやすい性質を持ちます。この差によって接合部に温度差が生じ、夜間や明け方など気温が下がるタイミングでは、金属部分が急激に冷えて周囲に結露が発生します。

伝統的な木造建築で釘を使わず組木で建てられてきた背景には、異素材の接触による腐食を避ける知恵があったとも言われています。現代の住宅でも、接合部での結露を防ぐ工夫を取り入れることで、長く安心できる住まいを保ち続けられます。

内部結露が発生しているかどうか確認する方法

「自分の家は大丈夫だろうか」と感じたときは、まず次のような兆候がないかを確認してみることが大切です。

ここでは、内部結露が発生しているかどうか確認する方法を紹介します。

室内の壁紙(クロス)が黒ずんでいる

内部結露で壁の中に湿気がこもると、その影響が壁紙にまで現れることがあります。

壁紙や天井材に黒い斑点やカビが出ている場合は、内部で結露が進んでいる可能性があります。とくに部屋の角や窓まわり、家具の裏など空気が滞りやすい場所では注意が必要です。

黒ずみは単なる汚れではなく、内部結露のサインであることがあります。拭いても落ちない、あるいは何度も同じ場所に現れるカビに気づいたときは、早めに原因を確認し対策を行うことで、住まいを健やかに保てます。

湿気やカビの臭いが室内に漂っている

部屋に入ったときに「じめっとした感じ」や「カビ特有のにおい」を感じることはありませんか。

内部結露が進行すると、壁の中で繁殖したカビの臭いが室内に漏れてくる場合があります。とくに換気をしても臭いが消えない、あるいは雨の日や湿度の高い日に強まるときは注意が必要です。

「なんとなくカビ臭い」といった違和感は、目に見えない場所で問題が起きているサインであることがあります。臭いに気づいたときは、早めに原因を確認して対策を行うことで、安心して過ごせる住環境を守れます。

壁や天井の表面に結露が現れている

寒い季節や湿度の高い時期には、壁や天井の表面に水滴や湿った斑点が現れることがあります。

とくに部屋の角や窓まわり、外壁に面した壁は結露が発生しやすい場所です。朝起きたときに壁が湿っている、触るとひんやりしていると感じる場合は、内部でも結露が起きている可能性があります。

表面に見える結露は内部のサインであることが多いため、気づいた段階で原因を確認し、早めに対応することが大切です。小さな変化に注意を払うことで、住まいを快適で安心できる状態に保てます。

厄介な内部結露を防ぐには?

内部結露を防ぐには、家づくりの段階での対策と、入居後の日常的な工夫の両方が欠かせません。とくに新築やリフォームを考えている方は、施工時にどんな工夫ができるのかを理解しておくことが大切です。

ここからは、施工でできる対策と日常生活で意識できるポイントを紹介します。

施工でできる工夫

施工でできる工夫

大空間のあるゼロエネルギーの住まい 山形県/(株)大永建設

内部結露を防ぐには、設計や施工の段階での工夫がもっとも効果的です。高性能な住宅づくりを意識することで、リスクを大きく減らすことができます。

結露しにくい断熱材を使う

内部結露を防ぐために欠かせないのが、断熱材の選び方です。

従来から使われてきた繊維系断熱材は湿気を吸いやすく、水分を含むと断熱性能が下がり、ずり落ちや隙間の発生につながります。せっかくの断熱効果が十分に発揮されず、住まいの快適性を損なうことがあります。

「FPの家」では、こうした課題を解決するために「FPウレタン断熱パネル」を採用しています。硬質ウレタンフォームを用いたパネルは、水に強い性質を持つため、パネル自体が湿気を吸収して劣化する可能性は、ほぼありません。このため、W、壁内結露による劣化をほとんど受けません。

さらに工場での一体成型により隙間なく充填されるため、高い気密性と断熱性を両立できます。その結果、内部結露のリスクを大幅に減らし、安心して長く暮らせる住まいを実現します。

また、FPウレタン断熱パネルはHFO発泡剤を採用し、業界最高水準の断熱性能を誇ります。経年劣化を抑えながら、ノンフロン・ノンホルムアルデヒド仕様で環境にも配慮している点も特長です。

「FPの家」では、この性能にもとづき「無結露50年保証」を掲げています。繊維系断熱材が湿気に弱いのに対し、FPウレタン断熱パネルは水に強く、性能を長く維持します。新築時に断熱材を選ぶ際は、このような違いを理解しておくことも重要です。

防湿シートを使う

断熱材の室内側に防湿気密シートを施工すると、室内の湿った空気が壁内に侵入するのを防げます。水蒸気の移動をしっかりブロックすることで、結露の発生を抑える仕組みが働きます。

ただし、防湿シートはわずかな隙間からでも水蒸気が入り込むため、丁寧な施工が欠かせません。さらに長い年月が経つと性能が低下する可能性がある点も考慮が必要です。

「FPの家」で採用する「FPウレタン断熱パネル」は水に強い性質を持つため、パネル自体が湿気を吸収して劣化する可能性は、ほぼありません。そこに防湿シートを組み合わせることで、より徹底した多層的な対策が可能になります。

また近年では、季節ごとの湿気の流れに対応できる「可変透湿気密シート」も登場しています。夏と冬で透湿性が変化するため、より柔軟で効果的な湿気対策として注目されています。

通気層を確保する

通気層を確保する

家族との時間を満喫する住まい 富山県/(株)山下ホーム

断熱材の外側に通気層を設けることで、壁内に入り込んだ湿気を効率よく外部へ排出し、内部を乾燥させられます。外壁と断熱材の間に空気の通り道を確保する仕組みは、湿気対策だけでなく、万が一雨水が侵入した際にも乾燥を助けます。

「FPの家」で採用する「FPウレタン断熱パネル」は、水に強い性質を持つため、パネル自体が湿気を吸収して劣化する可能性は、ほぼありません。そのうえで通気層を組み合わせることで、二重のガードが働き、より確実に住まいを守れる仕組みになります。

「高性能な断熱材」と「通気層による乾燥機能」を両立させることで、「FPの家」は長く快適で健康的な住環境を維持し、家族が安心して暮らせる住まいを提供します。

日常生活でできる工夫

家づくりの段階での対策に加えて、毎日の暮らしの中でも内部結露を防ぐための工夫を取り入れることができます。

こまめに換気をする

湿気がこもりやすい場所では、意識的に換気を行うことが重要です。キッチンでの調理中や浴室の使用後は、必ず換気扇を回して湿気を外へ排出します。窓を開ける場合は1か所だけでなく複数の窓を開け、空気の通り道をつくると効果的です。

とくに対角線上の窓を開けると空気が効率的に流れ、湿気を逃がしやすくなります。天気のよい日は家全体の窓を開けて、定期的に空気を入れ替える習慣を持つと安心です。

室温を上げすぎない・下げすぎない

室内と屋外の温度差が大きいほど、内部結露は発生しやすくなります。

冬は暖房で暖めすぎず、環境省が推奨する「ウォームビズ」の目安である20℃前後を意識すると安心です。

夏も同様に、冷房の設定温度を下げすぎないことが大切です。「クールビズ」では28℃が推奨されており、この設定にすることで壁内との温度差を抑えられ、結露のリスクを軽減できます。

除湿機やエアコンの除湿機能を使う

梅雨や夏のように湿度が高い時期は、除湿機やエアコンのドライ機能を活用するのが効果的です。室内の湿度を40〜60%程度に保つことで、壁内に入り込む湿気を減らせます。湿度計を置いて、定期的にチェックする習慣をつけると安心です。

とくに梅雨時は外の湿度が非常に高いため、窓を開けて換気するよりも除湿機やエアコンを使った方が効率的な場合があります。

まとめ

内部結露は目に見えない場所で静かに進み、気づかないうちに住宅の耐久性や家族の健康に影響を与えます。しかし、高性能な断熱材を選び、適切な施工を行えばしっかり防ぐことができます。

内部結露を放置すると、カビによる健康被害、木材の腐敗による耐震性の低下、断熱材の性能低下による光熱費の増加など、住まいの寿命を縮めるリスクにつながります。だからこそ、新築やリフォームの段階で必ず対策を行うことが大切です。

「FPの家」では、業界最高水準の断熱性能と優れた水に強い性質をもつ 「FPウレタン断熱パネル」を採用しています。無結露50年保証で、長く快適な住まいを実現します。

理想の住まいを実現し、安心して暮らせる環境づくりをお手伝いします。大切な家を長く快適に保ちたい方は、ぜひ「FPの家」の資料をご覧いただくか、地域の気候風土に精通したFP会員工務店へご相談ください。

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