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住まいのコラム

2025年12月4日

インナーバルコニーって何?活用法やメリット・デメリットと設計ポイント

注文住宅を検討していると「インナーバルコニー」という言葉を耳にすることがあります。外観をおしゃれに見せられるだけでなく、ほどよい開放感があるため、人気が高まっている住まいのスタイルです。

とはいえ、実際にはどんなふうに使えるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、インナーバルコニーの基本的な特徴から、メリットとデメリット、さらに後悔しないための設計の考え方まで分かりやすく紹介します。天候を気にせずに使える便利さや活用例を押さえつつ、工務店に相談するときに役立つ視点もまとめました。

インナーバルコニーとは?

インナーバルコニーとは、2階以上の階に設けられる、建物の内側へ引き込んだ形状の屋根付きバルコニーのことです。一般的なバルコニーは外へ張り出すつくりですが、インナーバルコニーは建物の一部として組み込まれている点が大きな違いです。

屋根と三方の壁に包まれた半屋外空間のため、雨や強い日差しを避けながら外気を感じられます。洗濯物を干すのはもちろん、椅子を置いてゆったり過ごしたり、子どもの遊び場にしたりと、日常の延長として気軽に使える場所になります。

とくに、都市部のように庭を十分に確保しにくい環境では、貴重な屋外空間として暮らしの幅を広げてくれる存在です。

インナーバルコニーとバルコニーの違い

バルコニーは建物の外側に張り出した屋根のない屋外スペースです。一方、インナーバルコニーは建物の内側に配置され、上階の床がそのまま屋根として機能するため、雨や日差しをしっかり遮れます。

そのため、バルコニーでは急な雨で洗濯物が濡れる心配がありますが、インナーバルコニーなら天候に左右されず外干しができます。

また建築基準法では、一般的なバルコニーは外壁面から2m以内であれば延べ床面積に含まれませんが、建物内部とみなされるインナーバルコニーは延べ床面積に算入される点も押さえておきたいところです。

出典:e-Gov法令検索「建築基準法施行令」(https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338

インナーバルコニーとベランダの違い

ベランダは屋根が付いたうえで、建物の外側へ張り出してつくられる屋外スペースです。インナーバルコニーとの大きな違いはこの「設置位置」にあります。外側に張り出す構造のため奥行きが取りづらく、さらに2m以下であれば延べ床面積に含まれない点も特徴です。

一方、インナーバルコニーは建物の内側に入り込むように設けられるため、比較的ゆとりのある奥行きを確保しやすく、外からの視線も届きにくいつくりになります。こうした違いが、使い勝手や過ごし方にも影響していきます。

こちらの記事では、ベランダとバルコニーの違いについて解説しています。 それぞれの用途やメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

インナーバルコニーとテラスの違い

テラスは1階につくられる屋外スペースで、地面より少し高く設けられているのが一般的です。

インナーバルコニーが2階以上に設置されるのに対し、テラスは1階で使うことを前提としている点が大きな違いです。また、テラスには屋根がないため、日差しや雨の影響をそのまま受けます。

このように、インナーバルコニーは天候に左右されにくい半屋外空間、テラスは庭に近い開放的な屋外空間という使われ方の違いが生まれます。

インナーバルコニーとサンルームの違い

サンルームは天井や壁をガラスやアクリル板で囲った空間で、外部と仕切られた屋内として扱われます。

大きな違いとして挙げられるのが水の扱いです。インナーバルコニーは防水加工を施せば、水栓を付けて植物の水やりをしたり、床をさっと洗い流したりする使い方ができます。

一方、サンルームは一般的な居室と同じ構造でつくられるため、水を多く使う用途には向いていません。

また、インナーバルコニーは外気を感じられる半屋外空間で、サンルームはガラスで密閉された完全な屋内空間です。自然の風を楽しみたいのか、外部と切り離された快適な空間がほしいのかによって、どちらが適しているかが変わってきます。

インナーバルコニーのメリット|屋外と屋内のいいとこ取り

インナーバルコニーのメリット|屋外と屋内のいいとこ取り

インナーバルコニーは、屋外の開放感と屋内の快適さを両立できる空間です。都市部や狭小地では庭を設けることが難しくても、貴重な屋外スペースを確保できます。

天候の影響を受けにくい

屋根があるため、急な雨でも洗濯物が濡れる心配がありません。共働き世帯にとって、外出中も安心して外干しできるのは大きなメリットです。

夏の強い日差しも遮るため、洗濯物の色あせを防げます。

空間を広く見せられる

リビングと隣接させることで、室内空間が視覚的に広がります。大きな窓を設けると、実際よりも部屋が広く感じられます。

2階リビングの住宅では、床材や天井材を統一することで一体感が生まれ、より開放的になります。

半屋外空間でもプライバシーを確保できる

建物の内側に引っ込んでいる構造のため、外部からの視線が届きにくく、住宅密集地でもプライバシーを守りやすくなります。

通常のバルコニーと違い、屋根と壁に囲まれているため外からの視線を気にせず過ごせます。

使い道いろいろ!インナーバルコニーの活用方法

インナーバルコニーは多目的に使える柔軟性が魅力です。とくに、水栓を設置すると活用の幅がさらに広がります。

まず、洗濯物を干すランドリースペースとして活用できます。屋根があるため、突然の雨でも慌てる必要がありません。奥行きが1m以上あると、洗濯物をゆったり干せて動きやすくなるでしょう。

ベランピングやアウトドアリビングとしても活用することができます。テーブルや椅子を置けば、バーベキューやホットプレート料理を楽しめます。においがこもらないため、気軽に外の空気を満喫できる特別な空間です。

子どもの遊び場としても最適です。水栓があれば夏にビニールプールを設置できますし、2階以上の高さにあることで道路への飛び出しを気にせず遊ばせられます。

ガーデニングや家庭菜園を楽しむスペースとしても人気です。プランターで野菜やハーブを育てれば、庭がなくても緑のある暮らしを実現できます。

作って後悔?インナーバルコニーのデメリット・注意点と対策

インナーバルコニーには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。事前に理解し、適切な対策を講じることで後悔のない家づくりができます。

間取りが制限される

インナーバルコニーは延べ床面積に算入されます。地域ごとの容積率に影響するため、その分だけリビングや寝室などの居住スペースが狭くなる可能性があります。

とくに狭小地や容積率が厳しい地域では、インナーバルコニーの広さをどう設定するかが重要です。設置する目的を明確にし、本当に必要な広さを工務店や建築会社と相談しながら決めましょう。

部屋の採光がしにくくなる

屋根と奥行きがあるため、隣接する部屋に日光が届きにくくなります。とくに南側に設けた場合、奥の部屋が暗くなる可能性があります。

日中でも照明が必要になったり、冬場は部屋が寒く感じたりすることがあります。ただし、天窓(トップライト)や高窓(ハイサイドライト)を設置することで解決可能です。

戸建てにインナーバルコニーを作る際のポイント

戸建てにインナーバルコニーを作る際のポイント

後悔しないためには、設計段階での工夫が欠かせません。工務店や建築会社の設計力と経験が大きく影響する部分です。

目的に合わせた動線を整える

インナーバルコニーの使い勝手は、動線計画で大きく変わります。利用目的を明確にし、それに合わせた動線を設計することが重要です。

主に洗濯物を干す目的なら、洗濯機の近くや2階のランドリールームと隣接させると便利です。洗濯→物干し→取り込み→畳む→収納という流れを、できるだけ短い動線で完結できるように配置しましょう。

セカンドリビングとして活用したいなら、リビングやダイニングと隣接させるのがおすすめです。掃き出し窓でつなげることで、室内と一体的に使えます。

子どもの遊び場として使うなら、キッチンやリビングから様子を見守れる位置に配置すると、家事をしながらでも目が届くため安心です。

室内のデザインや色味と統一させる

インナーバルコニーと室内のデザインに統一感を持たせることで、空間の連続性が生まれ、より広く開放的に感じられます。床材や天井材、壁の色調を揃えることが基本です。

リビングの床がナチュラルな木目調なら、インナーバルコニーの床材も同系色のウッドデッキ調タイルにすると調和します。照明の色温度も室内と合わせると統一感が生まれます。

水栓や収納の設置も検討する

水栓やスロップシンクがあればホースで床を洗い流せるため、砂や泥汚れもすぐにきれいにできます。ガーデニングの水やりや、子どもの水遊び、バーベキュー後の片付けにも大活躍します。

水栓を設置する際は、排水経路をしっかりと確保し、階下への水漏れを防ぐため勾配をつけて排水口に水が流れるようにしましょう。

収納は、テーブルや椅子、洗濯用品、子どものおもちゃなど、日常でよく使うものが無理なく片付けられる大きさがあると便利です。とくに生活用品は出しっぱなしになりやすいため、どこにしまうかを最初から決めておくと安心です。

たとえば、物置やベンチ収納を活用すれば、生活感を上手に隠しながら、すっきりとした空間を保てるでしょう。

窓や天窓の設置も考える

「隣接する部屋の採光不足」を解決するのが、天窓や高窓の設置です。

・天窓:屋根に取り付ける窓で、真上から光を取り込めるため採光効率が高く、インナーバルコニーの奥まで明るくできます。開閉式にすれば換気もでき、洗濯物も乾きやすくなります。

・高窓:壁の高い位置に設ける窓で、斜めから光を取り込みながら外からの視線を避けられます。プライバシーを守りつつ、部屋を明るくできるのが特長です。

「FPの家」の会員工務店なら、高気密高断熱性能を損なわずに天窓を設置することが可能です。断熱性能の高い窓ガラスを使用し、冬の寒さや夏の暑さを防ぎながら、明るい空間をつくり出せます。

まとめ

インナーバルコニーは、屋外の開放感と屋内の快適さを兼ね備えた、暮らしを豊かにする空間です。天候に左右されず洗濯物を干せるだけでなく、セカンドリビングや子どもの遊び場、趣味のスペースとして多目的に活用できます。

インナーバルコニーをつくる際は、まず目的を明確にし、そのうえで設計に工夫を凝らすことが大切です。とくに、動線計画や採光の確保、防水処理、デザインの統一感などは、日々の使いやすさに直結します。細かな部分まで丁寧に考えることで、快適な空間として活用できます。

このように細部まで行き届いた設計は、工務店や建築会社の経験と技術力によって仕上がりが大きく変わります。「FPの家」は高気密高断熱を強みとする住宅ブランドで、全国の「FPの家」ビルダーが地域の気候や風土をふまえた最適なプランを提案しています。

家づくりは、一生に一度の大きな決断です。とくに初めての方にとっては、不安や疑問が尽きないものでしょう。 そんなときこそ、お近くの「FPの家」ビルダーにご相談ください。お客様の希望に寄り添い、理想の住まいの実現をサポートいたします。

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