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住まいのコラム

2024年11月6日

長期優良住宅はメリットばかり?デメリットや申請方法も解説!

長期優良住宅は、安全で快適な家づくりとして注目されています。しかし、メリットだけではなく、デメリットも存在します。

長期優良住宅の認定を受けるメリットとして、住宅ローン減税や金利優遇などの経済的なメリットなどがあります。しかし、建築コストや設計・施工の煩雑さがデメリットとして挙げられます。

そのため本記事では、2024年(令和6年度)4月における長期優良住宅のメリットとデメリットを解説します。また、申請方法についても詳しく解説しますので、長期優良住宅の購入を検討している方は参考にしてください。

長期優良住宅はメリットばかり?

長期優良住宅はメリットばかり?

長期優良住宅は、省エネルギー性や経済的なメリットが魅力ですが、デメリットも存在します。メリットとしては、住宅ローン減税や耐震性の向上などが挙げられますが、建築コストの増加や設計・施工の複雑さがデメリットといえます。

マイホームを長期優良住宅にするかどうかは、メリットとデメリットを理解したうえでの判断が必要です。

長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、日本政府が推進する住宅基準のひとつです。省エネルギー性や、耐震性などの高い基準を満たした住宅のことを指します。

具体的には、長期にわたり良好な状態で住み続けられる高性能住宅のことで「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいて認定された住宅を意味します。

長期優良住宅では、一定面積以上の住戸面積、居住環境への配慮、自然災害への配慮、保全期間など、多岐にわたる項目を果たすことが求められます。

長期優良住宅にはデメリットもある

長期優良住宅には多くのメリットがありますが、建築コストが通常の住宅よりも高くなるデメリットがあります。そのため、通常の住宅より多くの建築コストが必要となります。

さらに、申請手続きは所定の手順で進める必要があるため、手続き自体が煩雑になります。この手続きの煩雑さが、長期優良住宅の申請にともなう時間と労力の負担増につながるのです。

長期優良住宅のメリット

長期優良住宅には数多くのメリットがあります。ここでは、長期優良住宅を購入するメリットをご紹介します。

長期間にわたって安全・快適に暮らせる

長期間にわたって安全・快適に暮らせる

長期優良住宅はその名のとおり、長期間にわたって安全で快適な暮らしができる住宅のことです。高い耐震性や防火性能、さらには優れた断熱性によって、地震や火災などの災害から身を守ります。

また、快適な室内環境を維持するための換気や断熱材の利用により、エネルギー消費が抑えられ、経済的な面でもメリットがあります。

さまざまな減税が受けられる

長期優良住宅を建てることで、さまざまな減税措置を受けられます。長期優良住宅を建てることでどんな減税が受けられるのか、2024年(令和6年度)4月1日に国土交通省より発表の資料をもとに解説します。

住宅ローン控除

まず、住宅ローン控除の最大控除額が増えるメリットがあります。たとえば、長期優良住宅の場合、最大で13年間、年末時点での住宅ローン残高の0.7%が所得税から控除されます。

この措置は、2025年末までに入居した場合に13年間適用されます。また、対象となる住宅ローンの上限は4,500万円です。

投資型減税

投資型減税は、正式名称を「認定住宅等新築等特別税額控除」といいます。2025年末までに長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅のいずれかを新築、または建築後未使用の住宅を購入し入居した場合、費用の10%が所得税額から控除されます。

上限額は650万円で、最大で65万円の控除が可能となります。また、控除しきれない金額は翌年分の所得税額からさらに控除される仕組みです。ただし、投資型減税は住宅ローン控除との併用はできません。

不動産取得税の減税

2026年3月末までに新築された長期優良住宅の場合、不動産取得税の控除額が一般住宅よりも多くなります。一般住宅では控除額が1,200万円までですが、長期優良住宅では1,300万円まで控除が受けられます。

登録免許税の税率引き下げ

2027年3月末までに長期優良住宅を購入すると、住宅の建築や購入時にかかる登録免許税の税率が引き下げられます。

通常の戸建住宅では、所有権保存登記が0.15%、所有権移転登記が0.3%となります。しかし、戸建の長期優良住宅では、所有権保存登記が0.1%、所有権移転登記が0.2%と優遇されています。これにより、所有権保存登記や所有権移転登記にかかる負担が軽減されます。

固定資産税の減税期間延長

2026年3月末までに新築された住宅は、固定資産税の減税期間が一般住宅よりも長くなります。通常の一戸建ては3年間、マンションなどは5年間の減税期間ですが、長期優良住宅の場合はそれぞれ5年間と7年間に延長されます。

ただし、一定の条件があり、住宅の面積や居住部分の床面積などが規定を満たしている必要があります。より詳細な条件は、手続きを行う市町村の情報を事前に確認しておきましょう。

住宅取得等資金贈与の非課税限度額拡大

長期優良住宅には、住宅取得等資金贈与の非課税限度額が拡大されるメリットもあります。住宅取得等資金贈与の非課税特例は、父母や祖父母から贈与される新築住宅、または住宅の増改築を目的とした資金に対し、一定額まで受贈者に贈与税を課さない制度です。

一般住宅が500万円まで非課税であるのに対し、長期優良住宅をはじめとする質の高い住宅は1,000万円までが非課税となります。なお、こちらの制度は2026年末まで適用されます。

地震保険料の割引が受けられる

長期優良住宅は、地震保険料の優遇措置を受けられます。長期優良住宅が「耐震等級2以上」を満たしていることから、割引の対象となります。 耐震等級2の割引率は30%、耐震等級3(最高等級)であればより高い割引率である50%が適用されます。

補助金が受けられることがある

2024年度より、子育てエコホーム支援事業が始まります。これは2023年度まで実施されていたこどもエコすまい支援事業の後継にあたるもので、大きな違いは長期優良住宅が新築購入時の補助対象に加わった点です。

対象となるのは、所定の要件を満たした子育て世代または若者夫婦世代で、1戸あたり40~100万円が補助されます。

ただし補助を受けるには、エコホーム支援事業者として登録されている事業者と契約しなくてはなりません。登録事業者は、子育てエコホーム支援事業公式ホームページから検索することができます。

住宅ローン金利が優遇される

長期優良住宅をはじめとした高い省エネ性能・耐震性を持つ住宅を購入するときに利用できる「フラット35S」では、一定期間借入金利が引き下げられます。

2025年3月末までの申し込み受付分であれば、5年間の金利優遇を受けられます。金利引き下げ率はプランによって異なるため、詳しくはフラット35公式ホームページで確認してみましょう。

資産性が高くなる

長期優良住宅を購入することで、将来的な資産価値の向上にもつながります。高品質な住宅は、省エネルギー性や耐震性などの優れた特性を持っているため、建物の価値が長期間にわたって維持されます。

長期にわたって安全で快適な生活を送れるだけでなく、複数世代にわたって居住することも可能です。

長期優良住宅のデメリット

長期優良住宅を所有することは、メリットだけではありません。ここでは、長期優良住宅を購入することで発生するデメリットを紹介します。

申請に費用や手間がかかる

長期優良住宅の申請には、一般の住宅よりも一定の費用や手間がかかります。長期優良住宅の申請や審査にかかる費用は、管轄する行政機関によって異なりますが、おおよそ5万~6万円程度が一般的です。

また、申請には建築や設計に関する専門知識が必要ですので、委託するには代行手数料などが発生します。ハウスメーカーや工務店に申請業務を委託する場合が多く、その際の手数料を含めると、合計で20万円~30万円程度かかります。

建築コストがかさむ

長期優良住宅を建築する場合、通常の住宅よりも建築コストが高くなることがあります。なぜなら、長期優良住宅の基準を満たすためには、高性能な断熱材や耐震構造などを導入する必要があるためです。

また、設計や施工でも専門的な知識や技術が必要となるため、人件費が増加します。

建てた後も定期的なメンテナンスが必要になる

長期優良住宅は建てた後も、定期的なメンテナンスが欠かせません。高性能な断熱材や耐震構造を備えていますが、設備や構造物の劣化や破損を防ぐための適切な保守管理が必要です。

長期優良住宅の評価基準にも、適切な維持管理が組み込まれているため、メンテナンスを怠ることで認定から外されてしまうリスクがあります。

長期優良住宅の10の基準

長期優良住宅は高い品質基準が設けられていますが、その基準は戸建て住宅と共同住宅等で異なります。長期優良住宅の基準は、省エネルギーや耐震性、快適性などに関する項目に焦点を当てており、適切な住環境を提供することを目指しています。

長期優良住宅の基準を以下に解説します。

劣化対策

劣化対策では、住宅の構造躯体が長期間にわたって使用できることが求められます。構造の種類に応じた基準が存在し、新築や既存住宅に共通の基準として、劣化対策等級(構造躯体等)の等級3が必要です。

また、劣化対策等級3に加えて、床下及び小屋裏の点検口を設置、床下空間に330mm以上の有効高さを確保することなども求められます。

耐震性

耐震性の項目では、地震に耐え、損傷を最小限に抑えられる丈夫な建物であることが求められます。具体的には、木造の場合「耐震等級3」「大規模地震時の各階の安全限界変形の高さに対する割合が1/40以下」「免震建築物」のいずれかに該当していなければなりません。

維持管理・更新の容易性

維持管理や更新の容易性では、耐用年数が比較的短い配管や内装・設備に対して、点検や清掃、補修、更新を容易に行えるよう措置が取られていることが求められます。具体的には、維持管理対策等級(専用配管)の最高等級である等級3でなければなりません。

コンクリート内に専用配管を埋設しないことや、地中に埋設した管の上にコンクリートを打たないことなど、さまざまな項目を満たす必要があります。

省エネルギー性

省エネルギー性

省エネルギー性では、適切な断熱性能や省エネルギー性能が確保されていることが求められます。断熱等性能等級5、一次エネルギー消費量等級6に適合していることが条件です。

断熱等性能等級とは、外壁や窓からの熱損失を防止する性能のことです。たとえば等級3では熱損失などの一定程度の削減のための対策が講じられていることが求められますが、等級5ではより大きな削減のための対策がなされていなければなりません。

一次エネルギー消費量等級は、住宅が1年間のなかで消費するエネルギー量を指します。なお、長期優良住宅に求められる等級6は、2024年現在最高等級となっています。

可変性

戸建て住宅への適用はありませんが、マンションなど共同住宅では可変性に関する措置が必要です。住民の生活様式の変化に柔軟に対応できるよう、間取りの変更が容易であることが求められます。

バリアフリー性

こちらも共同住宅などへの適用のみとなりますが、将来のバリアフリー改修に備えて、共用の廊下などに十分なスペースが確保されていることが求められます。 バリアフリー性とは、高齢者や身体障がい者など、身体的な制約を持つ人々が快適に住めるよう設計されている状態を指します。

居住環境

長期優良住宅の居住環境として、地域の美しい景観や居住環境の維持と向上に配慮されたものであることが要求されます。具体的には、地区計画や景観計画、関連する法規や建築基準に適合し、地域の街並みや景観と調和したデザインや構造を持つことが必要です。

住戸面積

長期優良住宅の住戸面積には、良好な居住水準を確保するために必要な規模が必要です。一戸建ての住宅と共同住宅等では、最低限必要な面積基準が異なります。

一般的に戸建の場合、75㎡以上の面積が必要とされます。さらに、少なくともひとつの階の床面積は40m2以上でなくてはならず、また地域の所管行政庁が定める面積要件があればそちらも満たす必要があります。

維持保全計画

維持保全計画では、将来の住宅の状態を見越して、定期的な点検や補修などに関する計画が策定されている必要があります。具体的には、住宅の構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分、給水や排水の設備などについて、定期的な点検や補修の計画を策定します。

少なくとも10年ごとに点検を実施し、地震や台風発生後に臨時の点検を実施することになります。

災害配慮

災害配慮として、自然災害による被害を最小限に抑えるための配慮が求められます。災害が発生しやすい地域では、地域のリスクに応じて適切な措置を講じます。自治体や関係機関が定める指針に基づき、適切な対策を施すことが必要です。

長期優良住宅の認定を受ける流れ

長期優良住宅の認定を受けるためには、申請の流れと必要な書類を押さえておく必要があります。ここでは、長期優良住宅の認定を受けるための流れを詳しく解説します。

申請に必要な書類と費用

長期優良住宅の認定申請に必要な書類は「認定申請書」「設計内容証明書」「配置図」「各種図面」「各種計算書」です。工務店やハウスメーカーと打ち合わせをする際、長期優良住宅の申請に必要な書類を確認しておきましょう。

認定を受けるための費用は自治体によって異なりますが、一般的に数万円程度です。

申請の流れ

長期優良住宅の認定手続きの流れは、まず長期優良住宅に対応できる事業者探しから始まります。また、事業者は長期優良住宅の建築および維持保全計画を作成し、必ず工事を始める前に所管行政庁へ申請しなければなりません。

その後、内容に問題がなければ認定されます。基本的には施工を行う工務店やハウスメーカーが主体となって手続きを進めるため、依頼先によって申請にかかる期間が変わります。

長期優良住宅を建てる際の注意点

長期優良住宅を建てる際、いくつかの注意点があります。住宅購入は、人生のなかでもっとも大きな買い物ですので、必ずチェックしておきましょう。

工事着工前に申請を行う

長期優良住宅の建築を計画する際は、着工前に認定申請を行いましょう。着工前に申請を怠ったり、書類などに不備があったりすると、建物が完成しても認定を受けられない可能性があります。

最悪の事態を避けるためには、経験豊富な長期優良住宅の専門家に依頼することが重要です。

建築費用と節税額のチェックする

長期優良住宅を建てる際は、建築費用と税制控除、優遇措置を比較することを忘れてはいけません。長期優良住宅では、さまざまな税制控除や優遇措置といった恩恵を受けられますが、併用できない制度もあるため注意しましょう。

補助金や優遇制度を活用する

長期優良住宅は、さまざまな補助金や税制優遇制度を利用できます。代表的なものとして「住宅ローン控除」「子育てエコホーム支援事業」「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」が挙げられます。

長期優良住宅の建築が得意なメーカーに依頼する

工務店やハウスメーカーを選ぶ際は、長期優良住宅への対応力を重視しましょう。施工に定評のある建築会社でも、長期優良住宅に特化していないケースもあります。

長期優良住宅の実績が多い建築会社であれば、豊富な経験と知識を活かして円滑に手続きを進めてくれます。

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まとめ

長期優良住宅の建築には、さまざまなメリットとデメリットが存在します。メリットだけでなく、デメリットについても目を向けて、理想の住まいを手に入れましょう。

建築にかかる費用、補助金などの優遇制度の活用で得られる節税効果を把握し、費用全体で判断することが重要です。また、長期優良住宅の申請に慣れている建築会社に依頼することで、スムーズに手続きを進められます。

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