マイホームを建てる際、ぜひ考慮したいのが耐震性です。日本は地震が多発する国であり、家族の安全を守るためにも、住まいにおける耐震性の確保は欠かせません。耐震性を重視した住まいは、安心と快適さを兼ね備えた暮らしを実現するための大切な基盤となります。
本記事では、地震に強い家を実現するための具体的な特徴や、建築計画時に注意すべきポイントについて詳しく解説します。家づくりを検討中の方にとって、本記事が有益な参考となれば幸いです。
地震に強い家の形とは?

代々受け継がれてきた土地に受け継がれていく家 「Heritage House」 鹿児島県(株)/住まいの前屋敷
地震に強い家は、形が整っているという大きな特徴があります。具体的には、上から見て正方形や長方形である家は地震に強いといわれています。
なぜ正方形や長方形平屋も耐震設計が高い家平屋も耐震設計が高い家の家は地震に強いのか、その大きな理由は壁です。上下・側面にある6面の壁が均等に家を支える構造となるため、揺れを分散しやすくなります。
平屋も耐震設計が高い家として知られています。建物の重心が低いことで、地震の揺れによる横方向の力(水平力)の影響を受けにくくなります。重心が低いほど、揺れに対する安定性が向上します。
1階と2階の形がほぼ同じである総二階も、建物にかかる力が偏らず、剛性が均一に保たれます。地震発生時にも、一部へ過剰に負荷がかかるといったことを防げるため、震動による力を下方へバランスよく受け流しやすい特徴があります。
一方で、前項で紹介した内容から特徴が遠ざかると対策が必要となります。
▼構造的な複雑さや不規則性
・コの字型やL字型の家
・壁に凹凸の多い家
・1階と2階の大きさが異なる家
→ただし、適切な補強や連結部の強化、バランスの取れた構造設計により、耐震性を高めることができます。
▼高さや細長さなど
・家の幅に比べて高さがある細長い家
・3階以上の階がある家
→ただし、壁や柱の補強、重心の低下、制震装置の導入などにより、安定性と耐震性能を向上させることができます。
▼大きな開口部や空間
・1階がガレージとなっている家
・広大な空間のある家
→ただし、耐力壁の追加、柱の補強、適切な耐震設計により、構造的な強度を確保できます。
上記のように、正方形から遠のいた形であることや、一部分の柱が少ない点が挙げられます。こうした構造は安定性を確保しにくく、地震への耐久性も比較的低くなる傾向があります。
それぞれに合った対策を講じて耐震性に優れた家づくりを目指しましょう。
地震に強い家にする3つの構造とは?
強度を高めるための構造について把握する必要があります。ここでは、以下の3つの構造について詳しく解説します。
・地震に耐えるための「耐震構造」
・地震による揺れを抑える「制震構造」
・なるべく揺れが建物へ伝わることを防ぐ「免震構造」
耐震構造

世代を超えて、永く住継ぐ長期優良・高性能なFPの家 栃木県/(株)鈴木工務店
耐震構造とは、地震が起きても建物が倒壊せず、震動に耐えられることを目的とした設計のことを指します。そのために、さまざまな工法や設計の工夫が取り入れられています。
・柱と柱の間に筋交いを施す
・耐力壁を増やす
・柱と梁の接続部の強度を上げる
・柱や梁を太くする
・屋根を軽量化する
建物は重力に逆らって建てられているため、上下方向の揺れには比較的強い構造を持っています。しかし、水平方向の揺れには弱い性質があり、耐震構造によってこの弱点を補うことができます。
耐震構造の施工を行う際に基準となるのは、建築基準法で定められている内容です。現在は、1981年6月1日に定められた「新耐震基準」が適用されています。大地震が発生するたびに建築基準法は定期的に見直され、改正が行われるたびに基準は厳しくなっています。
また、後述する制震構造や免震構造に比べてリーズナブルな費用で行え、多くの戸建てや集合住宅に施されている構造でもあります。工期も短く、地盤の影響を受けにくいことも耐震構造の強みです。
制震構造
制震構造とは、地震の揺れを抑えるために施される構造のことです。建物の内部にダンパー(振動軽減装置)や重りを設置し、地震の揺れが建物へ伝わることを抑制します。
制震構造は地震の揺れのみならず、建物の損傷や台風による揺れも抑える効果があります。免震構造よりも比較的リーズナブルな費用で行えることも魅力的です。
一般的には、タワーマンションや高級マンションに施されます。タワーマンションや高級マンションへ制震構造を施すことで、上層部の揺れを抑えられます。近年では、戸建て住宅にも採用されるようになりました。
免震構造
免震構造とは、建物と地面の間に免震装置を設置する構造のことです。建物は地面と切り離された状態となり、地震発生時は設置された免震装置が地震の揺れを吸収します。建物は大きくゆっくり動き、家具の転倒を防げます。
耐震構造や制震構造に比べて地震による被害を受けにくく、近年では多くのマンションへ採用されるようになりました。また、柱や梁に装置を設置する施工ではないため、空間設計に対する自由度の高さも魅力的です。
地震に強い家の見極め方は?
「FPの家」を建てられたお客さまのなかには、熊本地震や東日本大震災の被害に遭われた方もいらっしゃいます。しかし「FPの家」の優れた耐震性によって、大切な家を守れました。
被災してしまった場合でも家の倒壊を免れた理由には、耐震性が大きく関係しています。ここでは、地震に強い家かどうかを見極めるポイントを4点ご紹介します。
耐震性・耐震等級
「地震の対策が十分に備わっている」と評価できれば、地震に強い家だと判断できます。判断するためには、耐震等級を確認する必要があります。
たとえば、永くにわたって継続的に快適な暮らしを送れる住宅とされる「長期優良住宅」では、耐震等級に関する細かな条件が認定項目に含まれているため、より耐震性に優れた家だと判断できます。
また、住宅性能評価書を用いて耐震性を確認することもおすすめです。住宅性能評価書は、国土交通省に登録された第三者機関が全国共通ルールのもと、該当する住宅の性能を公平な立場で評価した内容をまとめた書類のことです。
構造と工法

各構造に適用される工法によっても耐震性が異なります。構造ごとの工法をある程度把握し、適用させたい工法を選びましょう。
【木造】
工法名 | 特徴 |
---|---|
木造軸組工法(在来工法) | 柱や梁を土台に組み合わせて構成する工法。日本の風土に深くなじんでおり、設計の自由度が高い。 |
枠組壁工法(2×4工法) | 木製パネルを枠材に設置して壁を作り、その壁を組み合わせて家を構成する工法。短納期を実現できる。 |
木質パネル工法 | 床や壁の構造体をあらかじめパネルにしておき、現地で組み立てる工法。短納期を実現できる。 |
FP工法 | 木造軸組工法に「FPウレタン断熱パネル」を組み合わせた工法。軸組工法の長所である自由設計を活かしつつ、独自のパネルによって堅牢さを確保している。 |
【鉄骨造】
工法名 | 特徴 |
---|---|
鉄骨軸組工法 | 鉄骨製の柱や梁を組み合わせて構成する工法。設計の自由度が高い。 |
鉄骨ラーメン工法 | 鉄骨製の柱や梁を接合し、枠組みを強化する工法。より耐震性に優れている。 |
【鉄筋コンクリート造(RC造)】
工法名 | 特徴 |
---|---|
壁式工法 | 壁や床のみで構成する工法。柱や梁は設けない。より耐震性に優れている。 |
ラーメン工法 | 柱と梁を接合し、枠組みを強化する工法。より耐震性に優れている。 |
基礎工事
基礎工事は、布基礎とベタ基礎の2種類が存在します。結論からいうと、耐震性により優れているのはベタ基礎です。
布基礎は、逆T字型のコンクリート基礎を数か所に設け、その上に建物を建てる基礎のことを指します。点や線で建物を支えるイメージを持つと分かりやすいでしょう。
ベタ基礎は、床下全体にコンクリートを流し込んで建物を支える基礎のことです。建物に接する面積が布基礎よりも大きいため、より耐震性に優れています。
また、扱う資材の量によって費用や強度が変動する点も押さえておきましょう。
地震に強い家を建てる際の注意点は?
地震に強い家を建てるには、いくつかの注意点を押さえる必要があります。
吹き抜け
吹き抜けは、開放感があるため魅力的に感じる方は多いでしょう。しかし、吹き抜けを設けることでおのずと柱や壁の量が少なくなり、耐震性に懸念点が残ります。
耐震性も保ったうえで吹き抜けを設けるためには、構造に耐震性を持たせなければなりません。枠組壁工法やFP工法、鉄骨ラーメン工法など、より耐震性に優れた工法で家を建てることで、吹き抜けを設けても耐震性を保った家になります。
ビルトインガレージ

ビルトインガレージのあるレンガの家 茨城県/(株)にのみや工務店
ビルトインガレージとは、建物の1階に車庫を設け、ドアやシャッターを閉めることで車を格納するガレージのことです。
ビルトインガレージも、吹き抜けと同じような理由で耐震性に欠けてしまう場合があります。具体的には、ビルトインガレージを設けることで通常の部屋よりも壁が少なくなり、大きな地震に耐えられなくなる可能性が出てきます。
ビルトインガレージを設けたい場合も、耐震性に優れた工法を用い、工務店や建築会社と相談しながら耐震性を保った家づくりを進めていきましょう。
窓の数や大きさ
窓は、日光を室内に取り入れる・換気や調湿などにおいて重要な役割を果たしますが、多すぎるあるいは大きすぎる場合は、必然的に壁の面積が小さくなり、耐震性に欠けてしまうでしょう。窓の数や大きさと耐震性のバランスを考慮しながら、窓を設置することが重要です。
まとめ
今回は、地震に強い家の特徴や、建てる際の注意点などを解説しました。正方形や長方形などの形である場合が多く、その形から遠のくと対策が必要となります。吹き抜けや窓の数などに注意しながら、家を建てることが重要です。
「FPの家」は、木造軸組工法の自由さを持ちながらもより堅牢さに優れたFP工法によって、耐震性の高い家づくりを行います。FP工法では、独自のFPウレタン断熱パネルを採用することで断熱性や耐久性を大きく上げ、まるで魔法瓶のような住まいを実現しています。
全国各地に加盟工務店や建築会社があり、地域の気候風土を知り尽くしたスタッフが対応いたします。まずは、お気軽にお問い合わせください。
永く住みよい、快適な注文住宅をお考えの方は、ぜひ「FPの家」にお問い合わせください。こちらのフォームから、お気軽に資料請求いただけます。