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住まいのコラム

2025年12月12日

雪対策で大切な家を守ろう!家づくりのポイントやおすすめグッズを紹介

雪の多い地域で家づくりを考えている方にとって、雪対策は避けて通れない重要なテーマです。新築時にしっかりと雪対策を施すことで、日常の除雪作業の負担を減らし、家族が安全で快適に暮らせる住まいを実現できます。

この記事では、家づくりの段階で取り入れたい雪対策の方法と、事前に揃えておきたいグッズを詳しく紹介します。

一戸建てで雪対策が大切な理由

雪は豪雪地帯に限らず、例年では雪が多く降らない地域でも集中的に降り積もることがあります。

住居周辺で起こりやすい被害として代表的なのが、屋根からの落雪です。降り積もった雪は夜間に凍り、さらに雨まじりの雪が加わると、その重量は最初の雪のおよそ1.5倍にもなります。

こうした重い雪の塊が屋根から落ちると、人がケガをしたり、カーポートが損壊したりするおそれがあります。

地上の雪も時間が経つほど重みを増し、除雪が難しくなるだけでなく、通路や駐車場の出入りに支障が出ることもあります。雪は見た目以上に重く、固まった雪の場合、1㎥あたり250〜500kgにもなるといわれています。

積雪で大切な家が壊れるリスクを減らすためにも、新築時から適切な雪対策を講じておくことが大切です。

損害賠償責任が発生する可能性も!

屋根からの落雪によって近隣に損害を与えた場合、法的な責任を問われる可能性があります。

民法第218条では「土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない」と定めています。この条文にある「雨水」には雪も含まれると解釈されており、落雪による被害についても適用されます。

さらに、屋根から落ちた雪が隣家の人にケガをさせたり、物を壊したりした場合には、民法第709条(不法行為による損害賠償)や第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)によって損害賠償責任を問われる可能性があります。

こうした法的トラブルや近隣住民との関係悪化を防ぐためにも、適切な雪対策を講じておくことが大切です。新築時に雪止め金具や無落雪屋根などの対策を取り入れれば、安心して暮らせる住環境を整えられます。

出典:e-Gov法令検索「民法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

【場所別】家づくりの段階でできる雪対策の方法

家づくりの段階でできる雪対策の方法

雪の多い地域で家づくりを考えている方にとって、建築段階から雪対策を取り入れることはとても重要です。後からリフォームする場合に比べて、新築時に設計へ組み込む方がコストを抑えやすく、対策としての効果も高くなります。

ここからは、家の部位ごとに行える雪対策を解説します。どの対策も生活のしやすさに直結するため、ぜひ参考にしてください。

屋根

屋根は、雪対策においてとくに重要な場所のひとつです。

屋根に積もった雪は建物への負担になるだけでなく、落雪による事故のリスクも高まります。だからこそ、屋根の形状や設備を工夫することで、雪下ろしの負担を大きく減らすことができます。

適切な屋根設計は、安全性と日常の快適さの両方に直結します。新築時にしっかり検討しておきたいポイントです。

雪が落ちやすいタイプの屋根

三角屋根や勾配が急な屋根は、雪が自然に滑り落ちやすい構造です。

屋根に雪が積もりにくいため、建物への負担を軽減できるというメリットがあります。ただし、雪が落ちやすいということは、落雪が隣家や通行人に被害を与えるリスクが高まるということでもあります。そのため、雪止め金具などの対策がとくに重要になります。

このタイプの屋根を採用する場合は、雪がどこへ落ちるのかを十分に考慮し、人が通る場所や隣地に落雪しないよう、設計段階から工務店や建築会社とよく相談することが大切です。

無落雪屋根

豪雪地帯では、比較的フラットな形状の「無落雪屋根」が多く採用されています。無落雪屋根は、屋根に積もった雪を落とすのではなく、徐々に溶かして雨どいや融雪ダクトから排水する仕組みです。

主流となっているのは「スノーダクト方式」で、屋根の中央に設けた排水ダクトへ雪解け水を集めて流し込む構造になっています。基本的に雪下ろしの必要がないため、屋根からの転落事故などの心配が減り、共働きで忙しい家庭にとって大きなメリットとなります。

一方で、排水ダクトに落ち葉やゴミが詰まると排水不良が起こり、雨漏りの原因になるため、定期的な清掃が欠かせません。

また「ルーフフラット方式」は降雪量が少ない地域向きであり、豪雪地域では雪の重量が建物への大きな負担となるおそれがあります。地域の積雪量に合わせて、適切な方式を選ぶことが大切です。

雪止め

雪止め

雪止め金具やネットは、屋根に取り付けて落雪を防止するための装置です。新築時に設置しておくことで、隣家とのトラブル防止や雨どいなどの設備保護にもつながります。

雪止め金具には「先付けタイプ」と「後付けタイプ」があり、新築や改築時には「先付けタイプ」を屋根施工の段階で取り付けます。金具の種類には扇型、羽根つき、アングルなどがあり、なかでもアングルタイプは落雪防止効果が高いとされています。

ただし、雪止め金具やネットであっても、積雪量によっては受け止めきれない場合があります。完全に落雪を防げるものではないため、地域の積雪量や屋根の形状に合わせ、適切な数や配置を工務店や建築会社と相談しながら決めることが大切です。

融雪システム

融雪システムは、屋根の上で雪を自動的に溶かす設備です。電気式やボイラー式などの種類があり、雪下ろしという重労働をほぼ完全に不要にできます。

設置には費用やランニングコスト(燃料費・電気代・水道代)がかかりますが、その分、毎日の除雪作業の手間を大幅に軽減でき、安心で快適な冬の暮らしをサポートします。

また、屋根に雪を安全に溶かすことで、家全体の雪管理がスムーズになり、暮らしの利便性が高まります。

窓に積もった雪の重みや、屋根から落ちた雪によって窓ガラスが割れてしまうことがあります。窓が破損すると、ガラスの破片によるケガや冷気の侵入など、さまざまなトラブルにつながります。

窓の雪対策として最も効果的なのは、二重窓(二重サッシ)の設置です。二重窓であれば、外側の窓が破損しても内側の窓が家族を守り、冷気の侵入も防げます。加えて、断熱性や防寒性にも優れているため、光熱費の削減にもつながります。

こちらの記事では、窓の断熱性について解説しています。 断熱シートの注意点や選び方も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

玄関

玄関前に雪が積もると、ドアの開閉が難しくなることがあります。こうしたトラブルを防ぐために有効なのが、風除室(玄関フード)の設置です。

風除室とは、玄関を囲うサンルームのような設備で、北海道などの寒冷地では広く普及しています。風除室があれば、玄関ドアの前に雪が直接積もるのを防げるほか、冷気が家の中へ入りにくくなるため防寒効果も期待できます。

また、除雪道具の収納場所としても活用できるなど、使い勝手のよい設備です。

駐車場

雪が多い地域では、車の雪下ろしが毎朝の大きな負担になります。ガレージ(車庫)やカーポートがあれば車に雪が積もらないため、雪下ろしの手間が省け、通勤前の時間を大幅に節約できます。

ただし、降雪量が多い地域では、カーポートが雪の重みで倒壊し、車にまで被害が及ぶことがあります。地域の積雪量に応じた耐荷重性の高い「耐雪カーポート」を選び、工務店や建築会社と相談しながら適切な製品を選定してください。

また、住宅周辺の風向きにも注意が必要です。風向きを誤ると、カーポート内部に大量の雪が吹き込む場合があります。設計段階から風向きを考慮し、必要に応じてサイドパネルを取り付けるなどの対策を検討しましょう。

エアコンの室外機

エアコンの室外機も、雪対策を忘れてはいけない重要なポイントです。室外機の吸い込み口や吹き出し口が雪で塞がれると、暖房効率が大きく低下し、故障の原因にもつながります。冬を快適に過ごすためにも、室外機まわりの雪対策はしっかり行いましょう。

高置台

積雪によって室外機が雪に埋もれるのを防ぐためには、高脚の置台に設置する方法が一般的です。室外機を地面から離して設置できるため、ある程度の積雪であれば埋もれる心配がありません。高置台の高さは地域の積雪量に応じて選ぶことが大切です。

防雪フード

室外機に雪が吹き込むのを防ぐために、防雪フードを設置する方法も有効です。防雪フードは室外機の周囲を囲うカバーのようなもので、吹雪や横殴りの雪から室外機を守ります。

高置台と防雪フードを組み合わせれば、より効果的な雪対策ができ、予期せぬトラブルの防止にもつながります。

住宅周り

住宅周り

住宅周りの雪対策も、日常生活の快適さを大きく左右します。とくに玄関アプローチや駐車スペースなど、毎日使う場所は対策の有無で暮らしやすさが大きく変わります。生活動線を意識しながら、優先的に対策を検討しましょう。

ロードヒーティング

ロードヒーティングは、玄関前や駐車場などの地中に埋めたパイプに温水を流したり、電気ヒーターを使用したりして、路面の雪を自動的に溶かす装置です。除雪作業がほぼ不要になるため、雪かきから解放されるだけでなく、凍結した路面での転倒防止にも効果があります。

ただし、設置費用がかかることに加え、電気代や燃料費といったランニングコストが発生します。こうした点を踏まえた上で、生活動線のなかでも使用頻度の高い場所を中心に導入を検討するとよいでしょう。

融雪槽

融雪槽は、除雪した雪を中へ落とし込んで自動的に溶かす装置です。

敷地内に雪を置いておくスペースを確保しにくい場合に、とくに有効です。作動音がほとんどないため近所迷惑になりにくく、雪が多い日でも水として排出されるため、置き場に困る心配もありません。

ただし、設置費用がかかるほか、使用に応じたランニングコストも発生します。こうした点を踏まえたうえで、生活環境に合った導入を検討することが大切です。

物置・外部収納

雪が多い地域では、除雪道具やレジャー用品、自転車などを保管できる物置や外部収納が重要です。スコップなどの除雪道具をしまっておけば、必要なときにすぐ取り出せて便利です。

新築時には、次の「雪対策グッズ」で紹介する道具の収納も見据えて、必要な収納量を計画しておきましょう。適切な収納があるだけで、暮らしやすさが大きく向上します。

事前に揃えておこう!おすすめの雪対策グッズ

家の構造的な対策だけでなく、雪対策グッズを事前に揃えておくことも大切です。雪シーズン前の11月〜12月ごろまでに必要な道具を準備しましょう。雪が降り始めてからでは品切れになることもあるため、早めの準備が重要です。

ショベル・スコップ

雪かきの基本道具となるのがショベルやスコップです。軽い雪には扱いやすいプラスチック製、硬い雪や氷には金属製が適しています。角スコ、剣スコ、雪ハネ、スノーダンプなど種類も多いため、複数揃えておくと状況に応じて使い分けられて便利です。

融雪剤・凍結防止剤

融雪剤と凍結防止剤は、雪を素早く溶かしたり路面の凍結を防ぐための薬剤です。融雪剤は塩化カルシウムが主成分で即効性が高く、凝固点をマイナス50度程度まで下げられるため、積もった雪を早く溶かしたいときに適しています。

一方、凍結防止剤は塩化ナトリウムが主成分で、凝固点はマイナス20度程度と高めですが、持続力があるため降雪前の予防散布に向いています。

どちらも玄関先や駐車場の転倒防止に役立ちますが、塩害のリスクがあるため使用場所には注意し、車に使う場合はこまめに洗車しましょう。

融雪マット

融雪マットは、内部に電熱線を埋め込んだゴムマットで、地面に敷くだけで雪を溶かせます。玄関先や階段など凍結しやすい場所に効果的です。お湯をかけると再凍結の危険がありますが、融雪マットなら安全に雪を処理できます。

家庭用除雪機

家庭用除雪機は、除雪の負担を大きく減らせる便利な道具です。雪を「押すタイプ」と「飛ばすタイプ」があり、積雪が30cm以下なら押すタイプ、それ以上なら飛ばすタイプが適しています。

ただし、安全な使用が最も重要です。除雪機による事故は死亡事故につながるケースが多く、誤操作や不注意が原因となる場合が少なくありません。事故を防ぐためにも「慣れているから大丈夫」と油断せず、取扱説明書をよく読み、シーズン前の試運転を含めて安全な使用方法を確認しましょう。

除雪機は大きいため、物置や車庫などに十分な保管スペースを確保しておく必要があります。

スノーブーツ

雪道での転倒を防ぐためには、滑りにくいアウトソールや防寒性の高い素材を使ったスノーブーツを選ぶことが大切です。

通常の靴では雪や氷の上で滑りやすく、転倒してケガをする危険性が高まります。家族全員分のスノーブーツを用意し、安全に冬を過ごせるよう備えておきましょう。

車用の雪対策グッズ

生活の足として車を使う方は、車用の雪対策グッズの準備も欠かせません。雪道を安全に走行するためには、スタッドレスタイヤとタイヤチェーンが必須で、早めの準備が安心につながります。

スノーブラシはフロントガラスやボディの雪を落とす道具で、車に常備しておくと便利です。また、解氷剤は鍵穴やフロントガラスの凍結に有効です。お湯をかけると再凍結や破損の危険があるため、解氷剤を活用しましょう。

一戸建ての雪対策を考える際のポイント

一戸建ての雪対策を考える際のポイント

雪対策は、単に設備や道具をそろえるだけではなく、設計や業者選びの段階から考えておくことが大切です。ここでは、家づくりの計画段階で押さえておきたい2つのポイントをご紹介します。

設計時に除雪作業のスペースを確保しておく

雪が降ると除雪が必要になりますが、除雪した雪を置いておく場所を敷地内に確保しておかないと、その都度、雪捨て場まで運んだり、業者に排雪を依頼したりする必要が生じます。除雪した雪を集められるスペースは、自宅の敷地内に用意しておきましょう。

庭の一角やガレージの一部を雪置き場として利用するのが一般的です。設計段階で工務店や建築会社と相談し、どこに確保するかを決めておくと安心です。敷地が狭い場合は、融雪槽やロードヒーティングなどの設備を検討する方法もあります。

地域の気候を熟知した施工業者を選ぶ

雪の多い地域で一戸建てを建築する際には、地域の気候や積雪量に対応した耐積雪構造の設計や、適切な断熱・気密性能を備えた住宅の提案が欠かせません。こうした判断には、地域の事情に詳しいプロの知識が大いに役立ちます。

降雪地帯や寒冷地で家を建てる場合、断熱性・気密性・換気性が重要なポイントになります。住宅の断熱性は「UA値」という数値で表され、数値が小さいほど断熱性が高いことを示します。

気密性は、延床面積に対して家全体にどれくらい隙間があるかを示す「C値」で比較できます。

「FPの家」は、地域の気候風土を知り尽くしたFP会員工務店と連携しています。全国展開でありながら、地域の特性に合わせた家づくりができる点は大きな強みです。FP会員工務店は、積雪量や寒さに応じた最適な雪対策も提案できるため、安心して相談できます。

雪の多い地域で快適に暮らせる家を建てるためには、地域密着型で確かな知識と経験を持つ工務店や建築会社を選ぶことが大切です。

こちらの記事では、UA値とC値について解説しています。 計算方法や推奨する数値も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

雪対策は、家族の安全と快適な日常に直結する重要なテーマです。新築時に適切な雪対策を講じておけば、将来的な修繕費や除雪の手間を減らすことができ、雪の多い地域でも安心して暮らせる住まいを実現できます。

屋根の形状選びや雪止め金具の設置、二重窓やカーポートの導入、さらに融雪槽やロードヒーティングといった設備まで、家づくりの段階から計画的に取り入れることで、日々の負担を大きく軽減できます。

「FPの家」では、高い断熱性と気密性を標準仕様としており、効率的な暖房計画と組み合わせることで、ご家族の健康と安全を守る住環境を提供しています。高断熱・高気密の「FPの家」なら、雪の多い地域でも冬を快適に過ごせる環境が整います。

雪対策を含めた理想の家づくりについて、ぜひお気軽にご相談ください。

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