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住まいのコラム

2025年9月30日

秋の花粉症の症状や原因は?家づくりで対策する重要性も解説

秋になると「鼻がムズムズする」「目がかゆい」と感じることはありませんか?

花粉症と聞くと春のスギを思い浮かべる方が多いですが、実は一年を通してさまざまな種類の花粉が飛んでいます。国内では60種類以上の花粉症が報告されており、秋に症状を訴える人は全体の約15%にものぼります。

本記事では、秋の花粉症の症状や原因を分かりやすく解説します。家づくりでできる花粉症対策も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

秋の花粉症とは

秋の花粉症は、夏の終わりから10月ごろにかけて飛散する植物の花粉によって起こるアレルギー性鼻炎です。

「花粉症といえば春」と思われがちですが、実際には一年を通じて発症する可能性があります。春はスギやヒノキが中心ですが、秋には別の植物が花粉を飛ばし、春とは異なる症状を引き起こすのです。

見落とされやすい理由のひとつは、症状が風邪に似ていることです。「季節の変わり目で体調を崩しただけ」と思い込み、対策が遅れるケースも少なくありません。

さらに、秋の花粉症は春とは原因植物も症状の出方も異なります。そのため、春の花粉症対策だけでは不十分な場合があるのです。

症状

秋の花粉症の代表的な症状は、春の花粉症と共通する部分もありますが、いくつかの特徴的な違いがあります。

春の花粉症と共通する症状 秋の花粉症の特徴的症状
・繰り返すくしゃみ
・水のようにサラサラした鼻水
・鼻づまり・鼻のかゆみ
・目のかゆみ・充血・異物感・目やに
・皮膚のかゆみ
・微熱のようなだるさ
・のどのイガイガ感
・気管に入り込み咳が出る(喘息様症状)
・「風邪が長引いている」と思われやすい症状
・口腔アレルギー症候群

秋の原因花粉は粒子が小さいため、鼻で止まらずのどや気管にまで届きます。そのため、春にはあまり見られない「のどの違和感」や「咳」が出やすいのが特徴です。

また、食べ物と関連する「口腔アレルギー症候群」にも注意が必要です。

こちらの記事では、ハウスダストの対策について解説しています。 溜まりやすい場所や設計時のポイントも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

原因

秋の花粉症の主な原因は、キク科とアサ科の植物です。春に飛ぶスギやヒノキとは種類も性質も異なり、生活圏に多く生息しています。

・ブタクサ(キク科)
秋の花粉症の最大の原因植物です。道端や畑、河川敷、空き地など身近な場所に広く分布しています。実は、日本で最初に報告された花粉症はスギではなくブタクサでした。花粉の大きさは約20ミクロンとスギ花粉の半分ほどで、気管支まで侵入しやすく、咳や喘息のような症状を引き起こします。

・ヨモギ(キク科)
繁殖力が強く、公園や堤防、住宅街などに広く自生する多年草です。毎年花を咲かせるため、一年草のブタクサより生育面積が広く、花粉の飛散量も多いとされています。食用や薬用としても知られていますが、花粉は強いアレルゲンとなります。

・カナムグラ(アサ科)
つる性植物で、野原や道端に広く分布しています。電柱やガードレールに絡みついて高く成長することもあり、非常に繁殖力が強いのが特徴です。駆除が難しい植物としても知られています。

これらの植物はいずれも市街地や住宅街など、日常生活でよく通る場所に生息しているのが特徴です。スギのように山間部だけに限られないため、生活のなかで花粉を避けることは簡単ではありません。

時期

秋の花粉症の飛散時期は、原因となる植物ごとに少しずつ異なります。

・ブタクサ:8月末〜10月中旬
夏に晴天が続くと成長が促され、飛散量が増える傾向があります。関東では12月ごろまで飛ぶこともあります。

・ヨモギ:8月〜10月上旬
比較的早い時期から飛び始め、秋の始まりとともに症状が出やすくなります。

・カナムグラ:8月下旬〜11月
ヨモギとほぼ同じ時期にピークを迎え、花粉が重なることで症状が強まる人もいます。

このように8月から11月にかけて、複数の花粉が同時に飛散しているのが秋の特徴です。

さらに稀ではありますが、秋から冬にかけてスギ花粉が飛散する「狂い咲き」も報告されています。花粉症は季節限定ではなく、通年で注意すべき症状だといえるでしょう。

秋の花粉と春の花粉の違い

秋の花粉症と春の花粉症には、原因植物の違いから生まれる特徴の差があります。違いを理解することは、効果的な対策につながります。

・花粉粒子の大きさ
春のスギ花粉は粒子が比較的大きく、主に鼻粘膜で止まります。このため、鼻水やくしゃみといった「鼻の症状」が中心になります。 一方、秋のブタクサ花粉は粒子が小さく、鼻を通過してのどや気管支まで入り込みます。その結果、秋には咳やのどの不快感が強く出やすいのです。

・飛散距離
スギやヒノキの花粉は風に乗って数十〜数百キロメートルも飛ぶため、都市部でも大量に飛来します。 対して、秋の花粉(ブタクサ・ヨモギ・カナムグラ)は飛散距離が数十メートル程度と短いのが特徴です。しかし、住宅地や通学路といった生活圏に直接生えているため、日常的に花粉を浴びやすいというリスクがあります。

こうした背景を踏まえると、春と秋では同じ「花粉症」でも発症の仕組みが異なることがわかります。したがって、春の花粉症対策だけでは秋の症状を十分に防げないのです。

家づくりでも花粉症を対策する重要性

「しっかり対策しているのに、家の中でも花粉症が出てしまう」その原因は、住宅の隙間から入り込む花粉にあります。

だからこそ、家づくりの段階で花粉症対策を講じることが大切です。

家の中への花粉の侵入を防ぐため

一般的な住宅では、想像以上に多くの隙間から花粉が侵入しています。窓やドアの開閉時はもちろん、サッシや換気口、外壁の継ぎ目などからも入り込みます。とくに粒子の小さいブタクサ花粉は、ごくわずかな隙間でも通り抜けてしまいます。

そのため「窓を閉めているのに症状が出る」と感じる方も少なくありません。気密性の低い住宅では、換気によって花粉が入ってきてしまいます。

高気密住宅であれば隙間を最小限に抑えられるため、意図しない花粉の侵入を大幅に減らすことができます。つまり、家づくりの段階で気密性を高めることが、根本的な花粉症対策につながります。

掃除や空気清浄機だけでは限界があるため

室内に入り込んだ花粉は、カーテンやソファ、衣類などの布製品に付着しやすく、一度付くとなかなか取り除けません。

掃除機をかけても花粉が舞い上がり、かえって症状を悪化させることがあります。寝具に付着した場合は、寝返りのたびに舞い上がり、睡眠中も影響を受けてしまいます。

空気清浄機も有効ではありますが、部屋の広さや空気の流れによって効果に差が出ます。つまり、掃除や空気清浄機は「侵入してしまった花粉への対処」にすぎないのです。

本当に必要なのは、そもそも花粉を入れない住宅性能です。高気密・高断熱と最適な換気システムを備えた家なら、侵入を大幅に抑え、家族が安心して過ごせる環境を実現できます。

家づくりでできる花粉症対策

家づくりでできる花粉症対策

The Ark (ジ・アーク) 福井県/(株)ライフ・コア デザインオフィス

家づくりの段階から花粉症対策を取り入れれば、日常的な工夫だけでは難しい、根本的で長期的な予防が可能になります。

ここでは、具体的な対策を紹介します。単独でも効果を発揮しますが、組み合わせることでより強力な花粉対策を実現できます。

花粉症の少ない地域を選ぶ

花粉の飛散量は地域差があり、北海道や沖縄ではスギ・ヒノキ花粉が少ないといわれています。しかし、秋の原因植物であるブタクサやヨモギ、カナムグラは全国に分布しており、完全に避けるのは難しいのが現実です。

そこで重要なのは、同じ地域内でも影響を受けにくい立地を選ぶことです。河川敷や空き地、未開発地に近い場所は植物が繁殖しやすいため、注意が必要です。

また、庭の植栽には花粉の少ない植物を選び、雑草が生えにくい環境を整えることも効果的です。こうした工夫で住環境の花粉量を減らせますが、最終的には住宅そのものの性能による対策が欠かせません。

気密性の高い家を建てる

花粉症対策で最も重要なのが住宅の気密性能です。気密性とは建物にどれだけ隙間があるかを示す指標で、C値(相当隙間面積)で数値化されます。数字が小さければ小さいほど、隙間が少なく、気密性が高いということになります。

一般的な住宅のC値は約5.0~10㎠/㎡ですが「FPの家」平均値でも0.5㎠/㎡を下回る高い気密性。こうした高気密住宅では、空気の流れをコントロールできるため、花粉をフィルターで確実に取り除くことが可能になります。

さらに外気の影響を受けにくくなることで、室内の温度や湿度も安定し、症状の緩和につながります。計画換気の効果も高まり、フィルター性能を最大限に活用できる点も大きなメリットです。

「FPの家」は独自の断熱パネルと高精度な施工により、この高気密性能を長期間維持できます。花粉症対策だけでなく、省エネや快適性の向上にもつながります。

最適な換気システムを導入する

花粉症対策において重要なのは、外気を取り込みながらも、花粉をできるだけ家のなかに入れないことです。高気密住宅では、換気システムの性能がその効果を大きく左右します。

代表的な仕組みのひとつが、自然給気・機械排気を組み合わせた「第三種換気システム」です。外気を取り込む際にフィルターを通すことで、花粉やホコリをしっかり除去し、清浄な空気だけを室内に届けられます。

住宅で採用される換気システムには、ほかにも機械給気・機械排気の「第一種換気システム」がありますが、初期コスト・ランニングコストともに負担が大きいことがデメリットです。

「FPの家」では、住宅の規模や家族構成に合わせて、コスト面や長期的なメンテナンス性も考慮しながら、最適な換気システムをご提案しています。

玄関収納を充実させる

玄関収納を充実させる

growth 千葉県/(株)石井建設工務店

外出時に衣類や髪に付いた花粉を室内へ持ち込まないためには、玄関での工夫が欠かせません。

玄関にウォークインクローゼットを設ければ、帰宅後すぐに上着を脱いで収納でき、居住スペースへの花粉拡散を防げます。土間収納を広く取り、コートやジャケットを掛けられるスペースを確保するのも有効です。土間なら花粉が多少落ちても掃除がしやすく、清潔を保てます。

さらに、花粉を落とすブラシやローラーを置く場所をつくり、帰宅時に使う習慣を取り入れましょう。花粉をキャッチしやすい素材の玄関マットを選び、こまめに洗濯や交換を行うのも効果的です。

こうした仕組みを整えておけば、家族全員が自然と花粉対策を実践できるようになります。

玄関近くに洗面所を設置する

帰宅後すぐに手洗い・うがい・洗顔ができる動線は、花粉症対策に非常に効果的です。玄関から洗面所へ直行できれば、室内に花粉を持ち込む前に顔や手を清潔に保てます。とくに子どもは帰宅後すぐに遊びたがりますが、動線がシンプルなら自然と習慣化できます。

この仕組みは花粉症だけでなく、風邪やインフルエンザといった感染症の予防にも役立ちます。深めの洗面ボウルや清潔に保てる収納を備えると、使いやすさも向上します。

さらに、来客時でも気兼ねなく利用できるよう、適度なプライバシーを確保する配慮も大切です。こうした動線を取り入れることで、花粉対策が生活習慣として定着し、家族全員の健康を守ることにつながるでしょう。

室内干しスペース(ランドリールーム)を設ける

室内干しスペース(ランドリールーム)を設ける

世代をこえていく家(2世帯) 新潟県/(株)星野工務店

花粉の季節に外干しをすると、洗濯物に大量の花粉が付着します。とくにタオルやシーツなど肌に直接触れるものは、症状の悪化につながりやすいため、注意が必要です。

専用のランドリールームがあれば、天候や花粉の状況に左右されず、洗濯から乾燥まで完結できます。また、除湿機能や暖房機能を備えれば、室内でも効率的に乾かせます。さらに、高断熱住宅なら室温が安定しているため、乾きやすく生乾き臭も抑えられます。

加えて、天井吊り下げ式の物干しをリビングや寝室に設ければ、急な雨や花粉の大量飛散時にも安心です。ドラム式やガス乾燥機を併用することで、より快適に洗濯物を管理できます。

「FPの家」では、家づくりをご検討中の方に向けた資料請求フォームをご用意しております。 家づくりのご相談も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

秋の花粉症は、ブタクサやヨモギ、カナムグラといった草花が原因です。

粒子が小さく、のどや気管支にまで入り込むため、咳や喘息のような症状を引き起こすことがあります。とくに子どもは影響を受けやすく、学習や睡眠に支障が出ることもあるため、家族全体での対策が欠かせません。

マスクや空気清浄機などの日常的な工夫だけでは限界があります。根本から花粉の侵入を防ぐには、家づくりそのものに工夫を取り入れることが重要です。

「FPの家」では、高気密・高断熱性能と適切な換気システム、さらに玄関収納や洗面所の配置、室内干しスペースなどを組み合わせ、花粉を寄せつけない住環境を実現しています。

花粉症でお悩みの方、とくにお子さんの症状を和らげたい方は、ぜひ家づくりの段階から花粉症対策をご検討ください。地域の風土に精通した全国の「FPの家」が、家族の健康とこだわりを守る住まいづくりをサポートします。