子供部屋は、成長に応じて必要なスペースや使い方が変わるものです。とくに子供部屋にスペースをあまり取れない場合は、家具の配置や収納スペースの確保が難しくなります。
本記事では、子供部屋の広さや、年齢に合わせたレイアウト例を紹介します。勉強に集中できる部屋づくりのポイントについても触れているため、レイアウトを考える際の参考にしてみてください。
子供部屋の広さ別|レイアウトの特徴
子供部屋の広さは、一般的に4〜6畳が目安です。ただし、部屋の広さをどう確保するかは、建物全体の広さや部屋の用途、子供の年齢や人数によって変わります。以下で、3〜8畳の広さごとに適したレイアウトの特徴を紹介します。
3畳
都市部や土地の限られたエリアでは、建物全体のスペースに制約があることが一般的です。兄弟姉妹それぞれに個室を用意したい場合や、リビングやバルコニーなどほかの空間の快適性を重視する場合に、3畳の子供部屋を選択する家庭もあります。
3畳は、シングルベッドを置くだけで床面積の約40%を占有するほどの限られたスペースです。そのため、子供が窮屈に感じないような工夫が必要となるでしょう。3畳の部屋では、たとえば以下のようなレイアウトが見られます。
・勉強机を子供部屋に置かず、リビングや共有スペースを学習の場として利用する
・家具は壁面にまとめて配置し、中央のスペースを確保する
・ロフトベッドを活用し、下部を収納や勉強スペースとして活用する
3畳という限られたスペースでも、レイアウト次第で十分に子供部屋として活用できます。少しの工夫次第で、子供にとって居心地のよい空間が実現できます。
※シングルベッドのサイズ=幅約100cm × 長さ195cm。1畳=1.62㎡、3畳=4.86㎡で計算しています。
4畳
4畳の子供部屋は、3畳と比べてわずかに広く、より多くの家具を配置できる余裕があります。シングルベッドや勉強机、ハンガーラックなど、子供部屋に必要な家具を最低限そろえられます。
【配置できる家具の例】
勉強机:幅約100cm×奥行60cm
ハンガーラック:幅約60cm〜80cm×奥行25cm〜40cm×高さ85cm〜120cm
さらに、動線を確保するためにレイアウトを工夫しましょう。たとえば、収納棚やフックを壁面に設置することで、床面を広く使えます。教科書やランドセル、小物類なども壁にまとめて収納すればすっきりとした印象になります。
また、引き出し付きのベッドを利用すれば、衣類やシーズンオフのアイテムを効率よく収納できるでしょう。
5畳
5畳は、子供が快適に過ごしやすい適度な広さといえます。寝る、勉強する、遊ぶ、くつろぐなどのさまざまな活動が、部屋のなかで無理なく行えるでしょう。
シングルベッドや勉強机などの基本的な家具に加えて、小さな1人掛けソファやテレビなども置けるため、部屋の機能性が大きく広がります。
【配置できる家具の例】
シングルベッド:24~32インチ
ひとり掛けソファ:幅約60cm~90cm
5畳の広さがあれば、必要十分の収納スペースを確保できます。教科書や趣味の道具、衣類などが増えても整理整頓しやすく、成長にともなう収納ニーズにも対応可能です。
6畳
6畳の子供部屋は、基本的な家具を配置できるだけでなく、友達を招いて一緒に過ごすためのスペースも確保できる広さです。ベッドや勉強机、収納スペースに加え、ローテーブルやラグを置いても余裕があり、部屋を多目的に活用できます。
【配置できる家具の例】
ローテーブル:約直径90cm(円形)または幅80cm×奥行40cm~48cm(長方形)
ラグ:約130cm × 190cm
人が座るために必要なスペースは、一般的に幅60cm×奥行45cmとされています。1.5〜2畳分の余裕があれば、友達と過ごすスペースとしては十分でしょう。
8畳
8畳の子供部屋は、広さに余裕があるため、成長や家族構成に応じたレイアウト設計が可能です。1人で使う場合だけでなく、兄弟姉妹でひとつの部屋を共有する場合にも十分対応できます。
1人で使う場合は、勉強机やベッド、収納スペースを確保しつつ、遊びや勉強のためのスペースを作れます。自由に動き回れる広さがあるため、幼少期のプレイルームとしても活用できるでしょう。
一方、兄弟や姉妹で使う場合は、パーティションや家具を設置すればある程度のプライバシーを確保しながら快適に過ごせます。2段ベッドや勉強机を配置しても、工夫次第で動線にゆとりを持たせられます。
家づくりの際、広さを表す単語として「畳」「坪」を目にする機会も多いでしょう。こちらの記事では、一坪の具体的な広さやマイホームに必要な坪数を紹介しています。
子供部屋におけるレイアウトの考え方

子供部屋を作る際には、事前に気をつけておきたいポイントがいくつかあります。ときには子供本人の意見も取り入れることで、子供が安心して過ごせる空間づくりができます。以下のポイントを押さえて、理想的な子供部屋を作りましょう。
部屋の形に注目する
子供部屋をレイアウトする際に大切なのは「広さ」よりも「部屋の形」です。同じ広さでも、形によって使い勝手が大きく変わるためです。
たとえば、長方形の部屋は、正方形の部屋よりも広い壁面を取れるといった特徴があります。これを活かし、壁側にベッドや収納などの大型家具を配置すれば、すっきりとまとまりのある快適な動線を作り出せるでしょう。
正方形の部屋であれば、中央のスペースを広く取ることで窮屈さを感じにくくなります。間取りの計画上、子供部屋にあまり広いスペースを割けない場合は、できるだけ壁面が多くシンプルな形状の部屋を選ぶとよいでしょう。
また、部屋の縦の高さを活かすことでも、限られたスペースを有効に使えます。2段ベッドを使う、ベッド下に収納や勉強机が組み込まれたロフトを使うことで、空間を立体的に活用できます。
勉強に集中できる配置にする
家族も空気もつなげるスキップフロアのある住まい 鹿児島県/(株)住まいの前屋敷
子供が勉強に集中しやすい環境を作るためには、子供の性格や好みに合わせたレイアウト設計が重要です。静かな環境を好む子供の場合は、環境音が届きにくい個室を用意するのがおすすめです。
一方で、個室の閉鎖的な雰囲気が苦手な子供や、集中力が続きにくい年齢の子供には、リビングの一角やリビング横にオープンな勉強スペースを作るのが適しています。家族の存在を近くに感じることで安心感を得られる子供もおり、分からない部分を親にすぐに聞けるメリットもあります。
どの場所が集中できるのかは人それぞれ異なるため、子供自身にどんな場所が集中できるのかヒアリングしてみてもよいでしょう。
子供の意見を尊重する
子供部屋のレイアウトを決めるときは、家族で話し合うことがとても大切です。親だけで決めるのではなく、子供の意見や希望を取り入れることで、その子自身の個性や考えを尊重したレイアウトを実現できます。
子供にいくつかの選択肢を示し、一緒に考えるプロセスは、子供の自己肯定感や主体性を育てるよい機会にもなります。また、自分で選んだ家具やレイアウトに対する責任感が生まれることで、部屋を大切に使う意識も高まるでしょう。
別の空間との動線を大切にする
レイアウトを考える際には、子供部屋と別の空間との動線を意識しましょう。子供と家族が自然に関わり合える導線にすることで、家族間のコミュニケーションが活発になります。
たとえば、吹き抜けやスキップフロア、リビング階段を取り入れると、家族のつながりを感じやすい動線を作れます。
吹き抜けやスキップフロアは、上下階で声をかけ合いやすくなるのが特徴です。子供が2階にいても家族の気配を感じられるため、孤立感を軽減する効果もあります。リビング階段を採用すれば、子供が自室に行く際に必ずリビングを通ることから、家族との挨拶や日常的な会話の機会が自然と増えるでしょう。
また、家全体を見据えた動線づくりは、住まいづくりのプロである工務店や建築会社に相談しながら進めていくとより確実です。
子供の成長を考慮したレイアウトの考え方
子供の成長につれて、必要な家具やスペースは変わっていきます。幼児期は遊びのスペースが必要ですが、学齢期になると学習・収納スペースが必要になります。ここでは、乳幼児期・小学生・中高年といった、3年代ごとのレイアウトの考え方について紹介します。
乳幼児期
乳幼児期の子供部屋は、安全性を最優先に考えながら、親子が一緒に過ごしやすい空間作りを意識することが大切です。この時期の子供は遊びを通じて成長するため、遊びやすさと快適さを重視したレイアウトが求められます。
まず、床には柔らかい素材のラグやクッションマットを敷いて、転倒時の衝撃を和らげる工夫をしましょう。とくに乳幼児はハイハイやよちよち歩きをするため、床の安全性が重要です。また、部屋の角に保護材を付けたり、家具は固定して転倒を防ぐなど、事故を防ぐ対策を徹底します。
収納スペースは、子供の手が届く低い位置に設けると、片付けを自然に習慣化しやすくなります。絵本やおもちゃを分類できるボックスを活用するとよいでしょう。
また、部屋を広々と使えるように、大きな家具は控えめにして、必要なものだけを選ぶことがおすすめです。乳幼児期は親と同じ寝室で寝ることが多いため、子供専用のベッドを置かなくても十分対応できるでしょう。
小学生
natural life 私らしく生きる家 青森県/(有)興都建設
小学生になると学習習慣が本格的に始まるため、勉強に集中できる環境を整えることが重要です。同時に、子どもの成長や趣味に対応できる柔軟性を持たせたレイアウトが求められます。
まず、学習机や椅子を設置し、快適に勉強できるスペースを確保しましょう。机の高さや椅子は、子どもの体に合ったものを選ぶことが大切です。成長にあわせて高さを調整できるイスなどを選ぶと、長く活用できるでしょう。机の近くに本棚や文具収納を置くことで、必要なものをすぐ手に取れる環境を作ることもおすすめです。
次に、収納スペースを工夫し、自分で片付けができる仕組みを整えます。ランドセルや教科書、学用品などの置き場を明確にすることで、片付けの習慣が身につきやすくなります。
個性が芽生える時期でもあるため、子どもの好みや趣味を反映させたインテリア選びも大切です。壁紙やカーテンなどを一緒に選ぶことで、子ども自身が自分の部屋に愛着を持てるようになるだけでなく、主体性を育むこともできます。
中高生
中高生の部屋づくりでは、学習スペースとリラックススペースを明確に分けることがポイントです。メリハリのある環境を整えることで、集中力が高まり、学習意欲も向上します。
勉強に集中できるように、机は壁に向けて配置し、視界に余計なものが入らないようにしましょう。机周りには、本棚や引き出しを用意して、教材や文房具をすっきり収納できるようにすると便利です。
リラックスできるスペースも忘れずに確保しましょう。勉強の合間にくつろげるよう、座り心地のよいチェアやクッションを置くのがおすすめです。中高生は、小学生よりもさらに個性が確立されていく年齢でもあるため、どのようなアイテムを置きたいか子供に選ばせることも大切です。
中高生になると教材や部活動、趣味のアイテムがさらに増えることから、より収納力の高い環境も必要です。スペースを有効活用するには、積み重ねられる収納ボックスや、壁際に配置できる収納家具を取り入れるとよいでしょう。
兄弟・姉妹がいる場合のレイアウト
兄弟・姉妹がいる場合は、性別や人数によってレイアウトの考え方が異なります。以下で、子供部屋を仕切りと個室で分ける際のポイントを紹介します。
仕切りで分ける
our nest ~私たちの巣~ 福岡県/想創舎(株)手嶋組
子供部屋は、それぞれ個室を用意するのが望ましいですが、スペースが限られている場合は、部屋を仕切って共有する方法があります。子供達が小さいうちや、同性の兄弟姉妹の場合におすすめの方法です。
この場合、最初から仕切りを使うことを見越した設計を検討しましょう。具体的には、コンセントや照明、ドアをそれぞれのスペースに設置しておくと、仕切りを導入する際にスムーズです。また、8畳以上の広さがあれば、快適に使える環境を作りやすくなります。
仕切りには、パーティションを活用すると便利です。注文住宅であれば、設計の段階で可動式パーティションを作りつけるのもよいでしょう。これらの工夫を取り入れることで、子供たちの成長にも柔軟に対応できます。
個室で分ける
子供部屋を最初から個室として設ける場合、広さはおおよそ4畳程度あれば十分といえます。寝る場所と学習スペースが確保され、快適に過ごせる環境が整えば、必要な機能はしっかりと備わっているでしょう。
兄弟姉妹が3人いる場合、それぞれに個室を用意する方法もありますが、2部屋に分けて1人用と2人用にする方法もおすすめです。この場合、性別で部屋を分けると使い勝手がよく、子供たちも過ごしやすくなるでしょう。
もしすべての子供に個室を用意するのが難しい場合でも、リビングに学習スペースや収納スペースを設けると、家全体を効率よく活用できます。個室が多少コンパクトでも、家族全員で快適に過ごせる工夫を取り入れることで、子供たちが勉強や片付けをしやすい環境を整えることができます。
子供部屋を作る際の注意点
レイアウトによって、勉強のしやすさや片付けやすさ、親子のコミュニケーションの取りやすさが大きく変わります。ここでは、子供部屋を作るときに気をつけるべきポイントを紹介します。
片付けやすさを意識する
子供が自分で整理整頓の習慣を身につけられるよう、片付けやすい環境を整えることが大切です。簡単に片付けられる仕組みがあれば、子供の負担になりません。
自然と片付けを習慣化できることで、親がサポートする手間も減ります。以下のポイントを取り入れて、片付けやすい子供部屋を目指しましょう。
・収納棚や引き出しは、使いやすいように子供の身長に合わせて配置する
・勉強に必要なものだけを机周辺に置き、それ以外のものは別の収納スペースにしまう
・ラベルを貼った収納ボックスを活用して、何をどこにしまうかを明確にする
部屋に鍵をつけないようにする
子供部屋に鍵をつけることは、プライバシーを守る効果がある一方で、親子間のコミュニケーションが減る原因にもなります。万が一、部屋でトラブルや事故が起きた際にすぐ対応できなくなるリスクもあるため、鍵はない方が安心です。
とくに思春期の子どもは、部屋に鍵をつけたいという気持ちが強くなることもあるでしょう。その際、親が子どものプライバシーを尊重する姿勢をしっかりと示すことが、信頼関係を築くうえで最も大切です。
たとえば、部屋に入る際にはノックをする、留守中に部屋に入る必要があるときは事前に伝えるなど、基本的な配慮を心がけましょう。
約束やルールを決めておく
個室を与えることで、子供が遊びに集中しすぎて勉強をしない、部屋を片付けない、ご飯の時間にすぐにリビングに来ないなどの問題が起こる可能性があります。こうしたトラブルが起こらないよう、あらかじめ約束やルールを決めておきましょう。
たとえば、以下のようなルールを設定すると効果的です。
・おもちゃや勉強道具は、使い終わったらすぐに片付ける
・ゲームやスマートフォンの使用時間を制限する
・ゲームやスマートフォンに過度に依存しないために、充電機器は部屋に置かない
こうしたルールは親が一方的に決めるのではなく、子供と相談しながら決めることが大切です。子供の年齢や性格に合わせたルールを設定し、なぜそのルールを守らなければならないのか十分に理解を得ることで、子供が自発的にメリハリをつけやすくなるでしょう。
子供が独立した後のことも考慮する
子供が独立した後の部屋の使い方を、あらかじめ考えておくことも重要です。何も考えずに部屋を作ってしまうと、独立後には、子供部屋がただの物置場になってしまう可能性があります。
子供が独立した後の部屋の活用例としては、以下のようなものがあります。
・趣味や仕事のスペースにする
・ゲストルームにする
・くつろぎスペースや読書コーナーなど家族が自由に使える共有空間にする
・将来的には夫婦の部屋にする
部屋の用途が変わっても対応できるような設計をしましょう。
子供が独立したあとも一緒に暮らし続けられる、二世帯住宅という選択肢もよいでしょう。二世帯住宅の魅力については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
まとめ
子供は、成長とともに必要なスペースや家具が変わるため、ライフステージに合わせたレイアウト設計が大切です。
乳幼児期はとくに安全性を確保し、小学生は学習机が置けるスペースを確保しましょう。中高生はリラックスできるエリアを分けることを考え、子供の個性や主体性にも配慮することが求められます。
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