ダイニングは、住まいに欠かせない空間のひとつです。聞き慣れた言葉ではあるものの「リビングとはどう違うのか」「キッチンと一体になっているのか」などと、具体的なイメージが湧かない方も多いでしょう。
この記事では、ダイニングの基本的な意味から、リビング・キッチンとの違い、間取り図でよく見かける「2LDK」「3DK」などの具体的な空間のイメージまでわかりやすく解説します。
ダイニングとは
ダイニングとは、食事をするためのスペースを指します。ダイニングは、英語の「dine(食べる)」と「room(部屋)」を組み合わせた「dining room(食事室)」に由来します。ダイニングルームが省略され、ダイニングと呼ばれるようになりました。
また、間取り図では「D」と表記され、キッチンやリビングと組み合わせた「DK」や「LDK」と表されるのが一般的です。
ダイニングとその他の部屋の違いは?
ここでは、リビングの概要を解説したあと、ダイニングと類似するリビング・ダイニングとダイニングの違いをわかりやすく整理します。
リビングとは
リビングとは、家族が集まり、くつろぐための空間を指します。
英語の「living room」を語源とし、日本語の居間や茶の間に近い意味合いを持ちます。ソファやローテーブル、テレビなどを設置し、リラックスして過ごす場所として使われるのが一般的です。
リビング・ダイニングとは
リビング・ダイニングとは、くつろぎと食事の時間をひとつの空間で楽しめる部屋です。間取り図では「LD」と表現されます。
従来、リビングはくつろぐ場所、一方のダイニングは食事をする場所として独立していました。しかし、日本の住宅ではスペースに限りがあることや、家族団らんを重視するニーズがあり、それぞれの機能をひとつにまとめたリビング・ダイニングが広まりました。
近年では、食事用の椅子もソファのようなリラックスできるデザインが増え、リビングとダイニングの境界はますます曖昧になっています。リビング・ダイニングの考え方を踏まえ、リビングにはソファを置くという固定観念をなくすと、限られたスペースでも快適に過ごせるでしょう。
DK・LDKは間取りを表す言葉
住宅の間取りを示す際は、3LDKのように数字とアルファベットの組み合わせを使用します。ここでは、間取り記号に使われるDKやLDKについて、それぞれの意味や特徴を紹介します。
DKはダイニング+キッチン
DKとは、ダイニングとキッチンが一体となった空間です。
DKの間取りにすると、キッチンのタイプにかかわらず、ダイニングテーブルとの距離が近く、家事効率が高まります。また、家事をしながら家族と会話ができる、子どもの様子を見守れるといった、コミュニケーション面のメリットもあります。
リビングがないDK空間でも、椅子にクッション性のあるものを選ぶなど家具の工夫次第で、食後も快適にくつろげる居場所をつくれるでしょう。
LDKはリビング+ダイニング+キッチン
LDKは、リビング・ダイニング・キッチンが一体となった広めの空間を指します。
LDKの間取りにすることで、在宅ワーク兼家事スペースとして活用するなど、ひとつの空間に複数の役割を持たせられ、限られたスペースを有効活用できます。料理中や仕事中でも子どもと会話がしやすく、家族間のコミュニケーションが自然と生まれるでしょう。
一方、多目的に使える分、物が増え、部屋が散らかりやすくなります。LDK間取りで整理整頓された部屋を維持するためには、あらかじめ収納の配置や容量を念入りに計画することがポイントです。
数字は居室の数
間取りに記載された数字は、居室の数を示しています。たとえば、3LDKは、リビング・ダイニング・キッチン(LDK)のほかに、3つの居室があることを意味します。
なお、部屋数の多さと広さは関係ありません。部屋数が多くても各部屋がコンパクトな家もあれば、部屋数が少なくても一部屋にゆとりがある家もあります。
家族にとって使いやすい家づくりのためには、部屋数だけではなく、各部屋の広さや使い勝手も考慮することが大切です。
DK・LDKの表記には広さも関係している
間取りの表記をDKにするかLDKにするかは、不動産公正取引協議会連合会が定めた基準に基づいて決められます。
具体的には、キッチンと1部屋の物件の場合は、キッチン部分が4.5畳以上8畳未満でDK、8畳以上あるとLDKで表記されます。居室が2部屋以上ある場合は、キッチン部分が6畳以上10畳未満でDK、10畳以上でLDKです。
ただし、畳という単位は地域によって異なります。そのため、統一するために、同規約では1畳を1.62㎡以上(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上とする基準を設けています。
間取り図を見る際は、図面の表記のみから判断するのではなく、実際の生活をイメージし、家具の配置や家事動線も含めて広さを確認することが大切です。
出典:「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」(不動産公正取引協議会連合会 ) (https://www.rftc.jp/webkanri/kanri/wp-content/uploads/2019/02/h_sekoukisoku.pdf)
DK・LDK丨我が家に合うのはどっち?
家族構成やライフスタイルによって、使いやすい間取りは異なります。誰が・どこで・どのように過ごすかをイメージし、我が家に合った間取りを考えましょう。
DKが向いている家族構成・ライフスタイル
DKの間取りは、1人・2人暮らし、もしくはシンプルな生活を重視する方に適しています。限られたスペースを効率的に使うことで、動線を短くでき、家事がしやすくなります。また、配置する家具や家電を必要最小限にすることで、掃除や片付けも楽になり、より快適に過ごせるでしょう。
LDKが向いている家族構成・ライフスタイル
LDKは、3人以上の家族や広めの空間でゆったりと過ごしたい方に最適です。食事とくつろぎのスペースを一緒にすることで、家族全員が同じ空間で過ごせます。とくに、小さい子どもがいる家庭では、料理中でも目を離さずに過ごせる点が魅力です。また、LDKは空間にゆとりがある分、インテリアの自由度も高く、家具のレイアウトもしやすくなります。見せる収納やおしゃれなダイニングスペースなど、空間にこだわりたい方にも適した間取りです。
ダイニングの広さの目安
ダイニングの広さを考える際は、食事のためのスペースだけでなく、椅子の出し入れや人の移動といった動作のしやすさにも配慮することが大切です。
たとえば、1人が快適に食事ができる最低限の広さは、幅60cm×奥行き40cmといわれています。椅子を引くためには、後方に60cm〜80cmのスペースが必要です。椅子の後ろを人が通ることを想定する場合は、追加で25cmほどの通路幅を考慮する必要があります。
つまり、テーブルの周囲では、食事のスペースと動作に必要なスペースの両方を設けなければなりません。
また、2人で食事をする場合のテーブルは、幅70cm×奥行き80cm程度が目安です。椅子の出し入れや通路も含めると、ダイニング全体として最低でも約1.6畳の広さが必要です。
4人掛けのテーブルを置く場合は、テーブルの幅が120cm前後、奥行きが140cm程度あると、食事をする際にゆとりが生まれます。全体で約4.5畳ほどの広さがあるとスムーズです。
さらに、来客が多い家庭や親世帯との同居などで6人以上が食卓を囲むケースでは、幅160cm×奥行き180cm前後の大きめのテーブルが必要です。人が自由に動ける空間を考慮し、5畳程度の広さを確保するとよいでしょう。
なお、小さな子ども用のアームレスチェアを使う場合、テーブルの背面に壁があるときは、テーブルから壁まで60cm〜80cmのスペースが必要です。60cm未満のスペースしか確保できないと、椅子を後ろに引く動作が窮屈になり、立ち上がるたびに壁や周囲に気を配る必要があります。
些細な不便でも積み重なると大きなストレスになるため、ゆとりのあるレイアウトを心がけましょう。
理想のダイニング作りのポイント
ここでは、理想のダイニング空間を実現するためのポイントを紹介します。
キッチンとの動線
ダイニングを快適に使うには、キッチンとのスムーズな動線が欠かせません。
そもそもダイニングは、キッチンで作った料理を運び、家族が食事をする場所です。だからこそ、キッチンからダイニングまでの動きがスムーズであればあるほど、家事全体の効率と快適さが大きく変わります。
家族とすれ違う場面も考えて、通路幅は最低60cmを確保し、余裕を持ったレイアウトを心がけましょう。
リビングとつなげる
リビングとダイニングをつなげることで、一体感が生まれ、家族の気配を身近に感じられるようになります。とくに、小さな子どもがいる家庭では、リビングとダイニングを完全に区切るよりも、空間に一体感を持たせたレイアウトがおすすめです。間取りにつながりを持たせることで、子どもの様子を見守りやすく、安心して過ごせるでしょう。
また、空間をまとめて使う場合は、家具を減らせるため、部屋全体にゆとりができます。たとえば、椅子をダイニングソファにすることで、ダイニングチェアとリビング用ソファを別々に置く必要がなくなり、部屋を広く使えます。家具代も抑えられるため、コスト面でもメリットを感じられるでしょう。
リビングと別空間にする
リビングとダイニングを別空間として設ける分離スタイルは、古くから多くの住宅で取り入れられてきました。分離されていることで、ダイニングでは食事に集中し、リビングでは娯楽や会話を楽しむなど、生活に自然なメリハリが生まれます。
空間を分ける方法としては、壁で完全に仕切るほかに、天井の高さを変える方法や床に段差をつける方法、家具でゆるやかに区切る方法が一般的です。部分的に視線を遮ることで、開放感は維持しつつも空間にメリハリを加えられます。
また、ダイニングを独立させることで、リビングの生活感を抑えられ、急な来客でもスムーズなおもてなしが可能です。
照明も事前の設計が大切
ダイニングの雰囲気を決める大きな要素のひとつが、照明です。
照明の色味や明るさ、配置によって、食卓の印象や居心地が変わります。たとえば、温かみのある電球色は料理を美味しそうに見せるほか、やさしく落ち着いた雰囲気を演出してくれます。
また、照明器具のデザインも空間のアクセントになるため、インテリアに合ったものを選ぶとよいでしょう。とくに、ペンダントライトのような吊り下げ型の照明は、ダイニングのアクセントとして人気です。しかし、取り付け位置がテーブルとずれると、見た目のバランスが悪化する場合や、椅子の出し入れが不便になる場合があります。
入居後に照明の取り付け位置を変更するには工事が必要になる場合もあるため、間取りの段階でしっかりと計画しておくことが重要です。
新築ダイニング事例7選
ここでは、実際に「FPの家」で施工された施主さまこだわりの「理想のダイニング空間」を紹介します。それぞれの工夫やポイントを参考に、自分らしいダイニングづくりのヒントを見つけてみてください。
北欧テイストのくつろげるダイニング
Cool cheap chic ~北欧テイストのおうち 宮城県/(株)髙橋工務店
宮崎県の北欧テイストのおうちは、ポールセンのペンダントライトを中心に設計されたLDK一体型の開放的なダイニングが特徴的です。あたたかみのある光を放つ北欧デザインの照明にあわせて、木の温もりを感じるナチュラルな家具が統一感を生み出しつつ、赤いチェアの差し色が空間に遊び心を添えています。
使い勝手と見た目の美しさを兼ね備えたダイニング空間を実現しています。
敷地内の木々を楽しめるダイニング
千葉県のROCKがテーマの住まいは、2階ダイニングにある大きな窓越しに広がる紅葉や庭木の景色が印象的です。旬の食材を食べながら、四季折々の自然を感じられる贅沢な空間に仕上がっています。
テーブルや椅子には木目が美しい素材、床にはヘリンボーン柄のフローリング、天井にはウエスタンレッドシーダーを使用し、家に居ながら木の温もりを感じられます。自然との調和を感じられ、心地の良い時間を過ごせるでしょう。
ナチュラルで温かみのある田園風ダイニング
福岡県の「私の隠れ家」は、白と木目を基調としたやわらかい空間に、扉のブルーの差し色が印象的なアクセントを添えています。室内のダイニングキッチンはナチュラルテイストで統一されており、穏やかで心地よい雰囲気が広がります。
ダイニングテーブルをあえて除くことで、気分にあわせて食事の場所を自由に選べるつくりとなっています。ソファのある空間とともに、ゆったりと過ごせる温かな雰囲気に包まれています。
重厚感と開放感が共存するダイニング
蔵をイメージした青空に白壁の佇まい 茨城県/(株)にのみや工務店
茨城県の「蔵をイメージした青空に白壁の佇まい」では、人生の折り返しをゆっくり過ごせる家をテーマにした家づくりを行いました。ダイニングは、施主さまが大切に集めてきた壺や絵画、器を眺めながら、友人と食事を楽しめる空間となっています。黒を基調としたキッチンに対して、90度に配置された一枚板風のダイニングテーブルが重厚感を演出しています。
キッチンやワークスペースとつながった無駄のないダイニング
【野幌の常春】将来の家族像を見据えた住まい 北海道/(株)FPコーポレーション 住宅部
北海道の「将来の家族像を見据えた住まい」は、将来家族が増えることを見据えて計画された、家族が自然に集まれるダイニングが特徴です。キッチンやワークスペースと隣接させることで、料理・勉強・仕事が同じ空間でスムーズに行えるレイアウトになっています。
落ち着いたインダストリアルモダンなダイニング

青森県の「かこむ」をコンセプトにした住まいは、生活動線もつなげるために、キッチンと横並びにダイニングテーブルを配置しました。食事を通じて家族の笑顔があふれるよう、暮らしの快適さに寄り添う工夫が詰まった設計です。グレーを基調とした天井や、無垢材の床・棚・梁が空間に落ち着きを与え、アイアン脚のテーブルがほどよいインダストリアル感を演出しています。
機能美が光るシックなダイニング
ビルトインガレージのあるレンガの家 茨城県/(株)にのみや工務店
茨城県の「ビルトインガレージのあるレンガの家」は「作る・食べる・片付ける」を効率的に行えるストレートな動線が魅力のダイニングを設計しました。キッチンとテーブルには同じカラーと素材を採用し、空間に統一感と上質さを演出しています。
また、テーブル上に並んだ3つのペンダントライトは、シャープなフォルムとシックな色味で空間を引き締め、モダンな印象を際立たせています。
全国の「FPの家」加盟工務店名簿は、こちらからご確認ください。
まとめ
新築の家づくりにおいて、ダイニングの配置や設計は生活全体に大きな影響を与えます。理想のダイニング作りのためには、単にテーブルが置けるかどうかではなく、どのように使い、どのような時間を過ごしたいかという視点で設計することが重要です。
日々の暮らしに寄り添う場所だからこそ、使い勝手や雰囲気づくりにこだわりましょう。
「FPの家」では、全国の工務店が、施主さまの要望に応じた性能とデザインにこだわった家づくりを提供しています。快適で心地のよいダイニング空間を作りたい方は、ぜひ「FPの家」にご相談ください。