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住まいのコラム

2025年4月8日

採光とは?家づくりで重要な理由と採光窓の特徴

新しく家を建てたいと考えている方のなかには、採光にこだわり、明るく開放的な間取りに憧れている方も多いのではないでしょうか。光を多く取り込むには、窓の大きさや種類・位置を工夫する必要があります。

そこで今回は、採光の基礎知識とともに、設置する際のポイントや実例を紹介します。光あふれる開放的な住まいを目指す方、光を取り入れて快適な家を目指したい方は、ぜひ参考にしてください。

採光とは?

採光とは、家に光を取り込むことです。日光をたくさん取り入れて明るい家にしたい場合には、採光にこだわりましょう。採光の悪い家は、家に入る自然光が少なく、全体的に薄暗い印象の家になってしまうので注意が必要です。

また、採光については、建築基準法でも詳細に定められています。住宅建築における採光はさまざまな条件を加味する必要があるため、家づくりの際には、こうした法令を十分に理解した工務店や建築会社に相談するとよいでしょう。

採光窓の位置と特徴

採光窓の位置と特徴

南向き大開口でもプライバシーを確保した大空間LDKのあるゼロエネ住宅 大阪府/(有)ファーストプランテクノ

採光窓は、設置する方角にも注意が必要です。太陽の位置や家が建つ地域の特性を考えながら、採光窓を設置することが求められます。日当たりのよさにこだわるからこそ、窓を大きくするだけでなく、方角にもこだわらなければならないのです。

ここからは、東西南北のそれぞれの方角に採光窓を設けた場合の違いを解説します。家の立つ場所はもちろん、採光窓を設置する方角にもこだわり、より日の光が多く取り込めるような家を目指しましょう。

東側の窓

東側の窓は、午前中にたくさんの日が入ります。これは、太陽が東から昇るためです。しかし、日の出が早い夏は朝早くから日が入り、室内の気温が高くなるというデメリットが挙げられるでしょう。また、日が多く取り込めるのは正午までで、午後は薄暗くなります。

朝に気持ちのよい光が入るのが、東側の窓ならではの大きな特徴です。朝日を浴びながら気持ちよく目覚めたいという場合には、寝室に採光窓を設置するとよいでしょう。一方で、朝ゆっくり寝たい方は、寝室の東側に窓を設置するのはおすすめできません。

西側の窓

西側に設置された窓からは、昼以降たくさんの光が入ります。明るい半面、西日を取り込みすぎると、夏場には室内が暑くなりすぎてしまう懸念点もあります。そのため、西側に窓を設置する場合には、遮熱タイプの窓が適しているでしょう。

太陽は、昼から夕方にかけて沈みます。それにともない、室内にも低い位置から光が部屋の奥まで入るのが特徴です。紫外線が強いため、暑さだけでなく床や家具、畳などが日焼けしてしまうのも、西側の窓ならではのデメリットといえるでしょう。

この場合は、大きな窓よりも、腰窓や小窓で光を取り入れるのがおすすめです。吹き抜けの場合には、西日は強すぎるので西側の窓は避けるべきとされています。

南側の窓

1日を通して最も日が取り込みやすいとされているのが、南側の窓です。南側の窓は、夜明けから日没まで、1日を通して光を取り込めるでしょう。

たくさん光が入ると聞くと、夏の暑さが気になるかもしれません。しかし、南からの日差しは西日ほど強くないため、明るい部屋にしたい場合によく用いられます。とくにリビングでは南側がおすすめです。

ただし、西日と同じく紫外線の影響が懸念されます。UVカット効果のあるガラスを用いるなどの工夫が必要となるでしょう。ひさしとセットで考えるのもおすすめです。

北側の窓

北側の窓は、日光が入りにくいとされています。そのため、たくさん日の光を取り入れて明るい室内にしたいという場合には、あまり適していないといえるでしょう。また、日光によって室内を暖めることもできません。

一方で、優しい光を取り入れたい場合や、通風の目的で窓を設置する場合には、北側の窓が取り入れられます。また、日光を入れたい場合には、天窓を設置するケースも見られます。天窓の設置が難しい場合でも、できるだけ高い位置に設置するとよいでしょう。

採光が必要な理由

先述のとおり、住宅には、建築基準法によって必要最低限の採光量が定められています。日の光は、室内を明るくするだけでなく、さまざまなメリットがあるからです。

採光を取り入れることで、部屋の快適性が上がり、さらに人間の体内リズムを整えることも可能とされています。また、暖かい日の光が室内に入れば、光熱費削減にもつながるでしょう。ここでは、採光によるさまざまな効果について、詳しくご紹介します。

生活リズムが整う

生活リズムが整う

窓を楽しむ家 大阪府/マクロホーム(株)

人の身体には、体内時計があるとされています。朝起きたときに日の光を浴びることで、体内時計を整え、さらには体内のリズムを整えることにもつながるでしょう。

とくに注目したいのは、幸せホルモンといわれる「セロトニン」です。セロトニンとは、脳内にある神経伝達物質のひとつで、精神を安定させる働きがあるとされています。

もうひとつ注目すべきなのは、メラトニンです。メラトニンは、睡眠や体温・ホルモンの分泌など、生活リズムを整えるのに欠かせないホルモンです。このメラトニンは、朝日を浴びると分泌が止まり、13〜15時間後に再び分泌されはじめる特徴があります。

このため、朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、夜間の良質な睡眠へと導く働きがあるとされています。

光熱費の削減になる

採光を上手に活用すれば、日中は照明を使わずに過ごせるでしょう。照明器具の使用頻度が減り、光熱費の削減につながります。さらに、日差しを効率的に取り込めば、寒い冬でも日の光で部屋を暖められます。これにより、光熱費の削減につながるのも大きなメリットです。

電気代の高騰が叫ばれている昨今、冷暖房コストをできるだけ抑えられるような、設計の注文住宅が人気を集めています。断熱性や気密性にこだわるのはもちろん、採光にこだわることで、光熱費を削減しながらより快適な家を目指せるでしょう。

室内の快適さが上がる

快適な室内環境を保つためには、採光が欠かせません。冬に暖房で部屋を暖めると、室内は乾燥します。採光によりある程度室内が暖められれば、過度に乾燥することなく快適に過ごせるでしょう。

また、注意したいのがカビです。日光の殺菌作用により、匂いやカビ、細菌の発生を抑制することもできるでしょう。採光は、家族みんなが快適で心地よく過ごせる家づくりに欠かせない要素といえますね。

採光窓の種類

採光窓は、設置する位置により種類が異なります。方角だけでなく採光窓の高さによっても、日の光の入り方に違いが出るので注意が必要です。ここからは、採光窓の種類である天窓・高窓・地窓のそれぞれの特徴について解説します。

採光窓の種類だけでなく、窓から入る日の光の特徴やメリットについてまとめました。家の位置や方向を加味しながら、それぞれのニーズに合わせた採光窓を取り入れて、より快適な注文住宅を目指しましょう。

天窓

天窓

ワンちゃんと住まう店舗付き住宅 福井県/(株)ライフ・コア デザインオフィス

天窓は、屋根に付ける窓です。別名「トップライト」とも呼ばれ、周りの環境に左右されず日の光を取り入れることが可能です。採光性に優れており、より効率的に光が入ります。プライバシーも守れるので、住宅密集地にもおすすめです。

天窓は、日の光が入りにくい北側に導入するのにも適しています。一方で、南側に取り入れると夏は暑くなりすぎてしまうため、南側以外に取り入れるとよいでしょう。上から降り注ぐ日光は、開放的な気分になれます。

天窓は屋根部分に設置するので、太陽光パネルを導入する際には、場所に十分注意しましょう。もし太陽光パネルの導入予定があれば、工務店や建築会社に相談し、プロの意見を取り入れることも大切です。

高窓

高窓

将来を見据えたプランも室内環境もバリアフリーな住宅 大阪府/(有)ファーストプランテクノ

天井に近い高い壁に取り付ける窓を、高窓といいます。別名「ハイサイドライト」と呼ばれ、天窓と同じく高い位置から光を取り込むことが可能です。天窓と違い、直射日光を避けられるので、適度な光を取り入れられます。

外から覗かれる心配がないのも、高窓の魅力といえるでしょう。そのため、カーテンやブラインドを付けないケースもよくあります。家の中が見えにくいので、防犯性にも優れている窓です。隣の家との距離があまりない場合でも、高窓なら気持ちよく光を取り込めるでしょう。

地窓

地窓とは、その名のとおり床に近い高さに設置する窓のことです。別名「ローサイドライト」とも呼ばれています。柔らかい光を取り込めるため、近年人気を集めている窓です。

足元に優しく光が入る地窓は、空間に抜け感を与え、おしゃれな雰囲気を叶えてくれます。玄関に設ければ抜け感が生まれ、さらに廊下では明かり取りとしても活躍するでしょう。

高窓と組み合わせれば、より効率的に換気ができるのも大きな特徴です。コンパクトな窓が多いため、地窓の上部分には収納を設けることもできるでしょう。

採光窓をつける場合のポイント

ここからは、採光窓を設置する際のポイントについてご紹介します。前述したように、採光は、窓を設置する方角や位置に留意しなければいけません。家の間取りに応じて必要な日の光を取り込めるかは、窓の大きさによっても違います。

また、窓は家の断熱性能にも大きな影響をもたらします。窓は壁面よりも断熱性能が低くなるため、断熱性が高い窓を取り入れるなどの工夫も必要となるでしょう。

窓の大きさ

窓の大きさ

街の四季をパノラマで切りとる連窓の家 佐賀県/(株)ジョージホーム

大きい窓であれば、たくさんの光を取り込めます。とくに東向きの窓を設置する場合には、大きな窓で朝日をたくさん取り込むことができますね。

一方で、大きい窓は小さい窓に比べて費用がかかります。また、強い日差しにより家具や床が日焼けしてしまうこともあるでしょう。窓の手入れが大変なのも注意したいポイントです。

大きい窓は開放的ではありますが、家の中が丸見えになってしまいます。そのため、しっかりと視線を遮ってくれるカーテンを選ぶ、防犯性に優れた二重ガラスを用いるなど、プライバシーや防犯面に配慮する必要があります。

窓をつける位置・方向

採光にこだわるなら、窓の位置と方向に留意しなければいけません。たとえば、南側は季節に関わらず、日の光が差し込みやすいという特徴があります。そのため、昼間に過ごすことが多いリビングは、南側の窓を設置するとよいでしょう。

東側の窓からは、朝日がよく入ります。寝室に東側の窓を設ければ、朝日とともに気持ちよく目覚められるでしょう。また、趣味部屋や書斎などプライバシーを保ちたい空間なら、優しい光を取り込める北向き窓がおすすめです。

なお、強い光が入る西側には、窓を設置しない家も多くあります。西側に窓を設置する場合には、地窓などの低いものや、または小さいものを設けるなどの工夫が必要です。

窓の断熱対策

熱は、主に窓を通じて家の中と外を行き来します。冬は約50~58%、夏は約70~73%の熱が、窓から外へ流れてしまうのです。日の光をたくさん取り入れながらも断熱性の高い家づくりをしたい場合には、こうした熱の出入りに対して、適切な提案ができる工務店や建築会社を選ぶことがポイントです。

たとえば、外と中の熱が出入りしにくい、樹脂サッシや複層ガラスの窓を採用するといった工夫が挙げられます。こうした窓は、断熱性だけでなく気密性や遮熱性にも優れており、結露の予防にもつながるのです。

とくに、大きな窓を設けて開放感を高めつつ優れた断熱性を確保するといった設計は、経験と知識が豊かな職人だからこそ提案できます。そのため、注文住宅の設計自由度がありながらも高断熱を両立するには、工務店選びが重要となります。

そのほか、夏の暑さから家を守るためには、窓に日よけのシェードを設置したり、植物による天然のカーテンを取り入れたりといった工夫もおすすめです。

こちらの記事では、窓に設置する断熱シートについて解説します。「断熱シートの効果は?」「もっと根本的な断熱対策はないの?」などの疑問にお応えする内容となっていますので、ぜひご覧ください。

採光窓の事例

ここまで、採光窓の種類や導入の際のポイントについて解説しました。採光窓を最大限に活用することで明るく開放的な家づくりが可能となるでしょう。

ここからは、採光窓の具体的な事例についてご紹介します。高窓や天窓などを適切な位置に取り入れることで、最適な空間づくりを叶えた事例をまとめました。ぜひ参考にしてください。

高窓にしてプライバシーも守る

住宅密集地で採光性が高い明るい家を目指す場合には、高窓を積極的に取り入れましょう。大きな窓も高窓であればプライバシー性を確保しながら日の光をたくさん取り込めます。

寝室で東に採光窓を設置する場合にも、高窓にすればプライバシーを確保できるだけでなく、優しい光を取り込めるでしょう。また、リビングの壁に高窓を複数設け、光の差し込む暖かな空間を演出する工夫もおすすめです。

プライバシーが守れる高窓は、リビングや寝室のほか、閉鎖的になりがちな洗面化粧室やクローゼットなどに取り入れるケースもあります。

天窓で北側も明るさを確保する

高窓と同じく天窓も隣家に囲まれたような住宅におすすめの採光窓です。とくに隣の家と距離があまりない場合も、有効的に光を取り込めるでしょう。また、吹き抜けがある場合には、屋根に面している部分に天窓を設けることで明るさを確保できます。

クローゼットや洗面室などに天窓を取り入れれば、採光だけでなく、換気も効率的に行えるでしょう。また、窓が設置できない中央部分にある部屋に天窓を設ければ、暗く閉鎖的な場所のない家を目指せます。

小屋裏部屋に天窓を設け、清々しい明るさとプライバシーを両立するのもおすすめです。

吹き抜けに大きな窓をつけて家全体を明るくする

吹き抜けに大きな窓をつけて家全体を明るくする

庭を楽しむモダンスタイルの家 福井県/(株)ライフ・コア デザインオフィス

近年人気の吹き抜けは、採光窓を設置するのにも最適な場所です。吹き抜けの1階から2階に大きな窓を設ければ、家全体が明るく心地よい空間になるでしょう。リビングが吹き抜けの場合には、プライバシー性に配慮できる高窓がおすすめです。

外からの視線対策には、視線を遮る塀を採用するのもよいでしょう。1階の掃き出し窓のほかに、吹き抜け部分に高窓を合わせて設置すれば、デザイン性が優れた家を目指せます。

今回ご紹介したいのは、吹き抜けと大きな窓を組み合わせて開放感を演出した以下のお宅です。南側に広々と設けた吹き抜け部分の窓はもちろん、水回りスペースにも横長の高窓を設置し、家全体が明るく爽やかな空間となるよう設計されています。

こうしたご提案ができるのは「FPの家」の高断熱・高気密と完全自由設計の技術ならでは。ぜひショート動画もあわせてご覧ください。

「【ルームツアー】平屋のように暮らせるプライベートバルコニーがある「FPの家」|南面全て窓でも外気温に左右されない快適な暮らし」のショート動画はこちらから!

高窓と地窓で採光と換気を確保する

地窓は高窓と併用するのがおすすめです。空気は暖められると上にたまり、冷たくなると下にたまります。地窓と高窓の両方を開ければ、地窓から冷たい空気を取り込み、天窓から暖かい空気を排出できるのです。同じ位置に窓がある場合よりも、より効率よく換気ができるとされています。

高窓と天窓の組み合わせは、空気がこもりがちなクローゼットに取り入れるとよいでしょう。また、室内干しを行うようなランドリールームへの設置にも適しています。

まとめ

明るく開放的な家を目指すなら、採光性にこだわる必要があるでしょう。採光窓からの日の光の入り方は、方角や位置、種類によって大きく異なります。より光を取り入れたいなら、それらの条件にしっかりと留意しながら設置場所を選ばなければなりません。

全国の「FPの家」ビルダーは、一つひとつのご家庭に寄り添った注文住宅をご提供しています。高い性能と完全自由設計の両立を強みとしている「FPの家」なら、採光性はもちろん、断熱性能にも配慮した快適な家づくりが可能です。

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